2010年9月7日火曜日

Jazz Machineにサブウーファーを追加の速報

20100904-2-寮生 


未だ未完成のJazz-Machineなのですが、
デジタルチャンネルデバイダーは4Way対応から6Way対応に
進化していて既に搭載しています。


Jazz-Machineは5Wayでの構想を持ってシステム構築しているので
以前のバージョンの4Wayでは機能不足であったが、
世の中には6Wayで聞いている人が大勢居る様で、
その方達に対応する為に進化した。
Jazz-Machineの5Way化はチャンネルデバイダーでは解決。


だが肝心のスピーカーが4Wayのままで消化不良状態でした。
Jazz-Machine搭載38cm(JBL2235)2発のウーファーの最低域をカットして
平面バッフルに生じる低域の空振りによるユニットの負荷を軽くし、
40~60Hz以下を46cm(JBL2245)バスレフ型サブウーファー2台で補うというのが
5Wayのユニット構成であります。


サブウーファー用エンクロージャーの設計と加工はあらかた終わっていたが
組み立てが未だでありました。
そこへ、この週末に学生時代の仲間が大挙して(4人だが)遊びに来る!
急いで間に合わせて到着の午前中までかかって組み立て完了。
これで一発かましてJazz-Machineの驚愕の音響エネルギーを
浴びせかけようとの魂胆でした。
もう一つは重くてでかくて一人では試聴室の2階へは上げられない、
人足代わりに友を利用しようとの魂胆も隠し持っていました。


やってみると3人で持って運び、もう一人は指示係と
ドアの巾を計算に入れていなかった事も運びながら思い出し、
背面スピーカー端子を外して1mmも余裕が無いぎりぎりで
運び上げた次第でした。
全員大汗!大感謝でした!。


ユニット取り付けて配線済んで設置完了。
調整も何も無くいきなりのぶっつけ本番で鳴らしたのが
アコーステックバージョンのイーグルス、ホテルカリフォルニア。
屋外ライブ会場に響き渡ったのであろうベースの
単調で重厚な響きは20畳程の試聴室に溢れかえって
慌ててレベルを下げて聞きます。


ロイ.ヘインズのグリーンチムニーでのソロ演奏の佳境では
皆が驚く様な逃げる様な物腰で恐怖の顔で聞いています。
音の暴力、洪水でしょうか。
細かい事は未だ置いておいても迫力では圧巻で成功成功。
ウイングと同じ人間が作ったスピーカーかと
Jazz-Machineを聞いた方には疑われます。


アンプは廉価版フルデジタルAVアンプからアナログ方式の
中級クラスAVアンプに変更しました。
デジタルチャンネルデバイダーのまとまりの良さと相まって
クラッシックも聴ける様に進化して来ています。
フルオーケストラの低音パートは存分に聞き分けられて
低音による臨場感も申し分無しです。
350Hzから上のコンプレッションドライバーによるトランジェントの
良さと平面バッフルによる応答の早い低域もオーケストラの
迫力を再現するのに役立っています。


ホームページに詳細を掲載しますのでしばらくお待ちを。 
でもJazz-Machineはこれで完成ではなくて、
全体をフロントホーン化して中域ホーンは大型ウッドホーンを
搭載して一応の完成となります。
未だ直ぐには出来そうにもありませんね。



2010年6月16日水曜日

音楽家の体の使い方

私は音楽そのものについては素人なのですが、訳あってプロの音楽家達の体の使い方を勉強している会に何度か参加した事があります。


以前から興味を持っていた古武道を通じて人の体の使い方を研究している甲野善紀氏の事は本や勉強会参加を通して知っていましたが、その方が講師となっていたのです。


仕事で大怪我をして体の使い方が以前と同じには出来ない、または時間がかかる事となりその対策を考えていました。その以前からの勉強会を通して知り合った方にプロのフルート奏者がいまして、その方が自身で改善した身体の変化を他の方にも紹介する内に音楽家の為の体使いの勉強会が立ち上がったと話していました。音大の若手からプロのソリストにオーケストラ員に扱う楽器は多様で、口コミで集まった方達です。


ピアノの音が良く出ない?と悩んでいた音大生にまず初めに少しだけ演奏させます。その直後に甲野氏は掌の平に丸棒を立たせて倒れない様にバランスを取ってみてと言います。数分間その学生は数十人の参加者が見守る中で子供の様に夢中になります。そして再び同じ曲を演奏すると、周りからどよめきが!。まるで音の響き違っているのです。


バイオリン奏者が肩が凝って演奏が辛いという状態で同じ様にまずは弾いてみます。腕を楽器の持つ位置に下から持ち上げる従来の方法に変えて腕を真上に先ず上げて、特別な意識を持って上から下ろして来ながら定位置に持って来ます。参加者が皆同じ様にしてみます。上半身や腕の力みが取れます。その状態で再び演奏を始めるとまたしても大きなどよめきが。本人が目をぱちぱちさせて信じられないようです。


その様な参加者の悩みを音楽とは無縁の甲野氏は体の使い方を瞬時に見抜いてアドバイスして行くのです。実は何故か音楽家で無い私もアドバイスを受けました。参加者はスピーカー制作者の私が怪我の回復にアドバイスをと言うケースを興味深く見守っています。


指の怪我でしたので大事な鉋を力強く握れません、そして曳く事が出来なかったのですが、甲野氏いわく、腕の先に鉋を握る道具も持った様に意識しろと、そして体全体でその道具を引っ張るのだと???、直ぐには理解できず何度も練習して関連する氏の書籍を読んでその技を習得できました。驚く事に今迄の1/3程の力で同じ作業が出来るのです。


そんな体験をしてからはコンサートに行きますと、演奏家の体使いを深く見てしまいます。つい最近聴いて来たバイオリンの庄司紗矢香さんは今世界注目の演奏家ですが、弓を引く力を入れている様にはどう見ても思えません。まるで弓の先が糸で吊るされている様です。大好きな五嶋みどりさんも先週聴いて来ましたが大熱演なのに同じ様に力んだ様子がまるでありません。


各国でピアノコンテストの審査員もされている程のピアノの中村紘子さんが本に書いてありますが、最近は演奏を聴かなくともピアノの前に座った様子を見ると技量が殆ど分かってしまうと言っています。これは音楽家だけでは無くてアスリートや私の様な物作りに関わる人間にも同じ様に言える事だなと思いました。


プロの音楽家になる為には幼少の頃から練習漬けで、体を使って遊んだりスポーツをする様な時間は皆無だそうですから人間本来の持つ運動能力をまるで知らない、体験せずに育つ、文明の利器を使う内に殆どの人がその様な感覚を忘れてしまうのでしょうね。天才と呼ばれる演奏家たちは音楽的センスは勿論ですが、体使いも本能的に備えている人達なのだと言っていました。


甲野氏は良く言っていますが戦国時代に生きた武芸者は常に命のやり取りをしていたから、私の様な研究だけしている者は足元にも及ばない程の体使いの熟達者だったろうと。それでもTVでも放映していましたが160cm50Kg程の甲野氏は柔道の重量級の選手をまるで子供の様にひょいひょいと転がしていましたけれどね。平和な現在に生まれていて良かったとつくづく思います。





2010年6月2日水曜日

チェロのエージング

この話は音楽なのかオーディオのジャンルなのか良く分かりませんが、


取り敢えずはオーディオ話と言う事で。




もう恒例になりましたが今年もN響次席チェリストの藤村俊介さんのソロコンサートを聴いて来ました。


今回は地元であるModel Aokiのオーナーさん(Aさん)もお誘いしてのコンサートでした。


いつもチェロを倒すとぶつかる距離の真正面で聴きますが、Aさんも分かっていたチェロの持つ表現力や豊かな音の響きですが、流石に目前で聞きますとそのスケールに圧倒されていたようです。


ウッドウイルの試聴室ではアコーステック楽器を聴く時には楽器本来の音量で鳴らしますが、殆どの方は環境が許さずに小さな音で聴いているので驚かれますが、Aさんはチェロがこんな大音量でなるのかとという点にも驚かれていたようです。1700年代にヴェニスで制作された名器と言う事ですので尚更かも知れません。


さてこれからがタイトルの話です。


この2年ほどのコンサートは雨天の為か演奏初めはさしもの名器も全体におとなしくしています。演奏曲目は前半が小曲が続き、後半のメインの曲の頃には楽器が目覚めて素晴らしい音色を聴かせてくれます。演奏家はそこまで考えて演奏曲目の構成を考えているのだな??と感心したものでした。


今年は晴れていましたのでどう鳴るのか興味深々です。演奏曲目は中間にメインの曲が入っています。出て来た最初の音はいきなり元気いっぱいで鳴り響きました。でも響き方が楽器全体からでは無くて不自然な気がしました。


やはり前半の演奏が終わった頃から全体が美しく鳴り響いて来ました。天候だけでは無く、やはり演奏して響かせて目覚める物のようですね。目覚め方の違いは有るようですが。


昨年夏に工房や試聴室にも来ていただき、お近づきになれたのをいい事に恐れ多くもそんな私の感想をぶつけてみました。そうしましたらエージングの過程は指摘したその通りの変化が有ったと話して下さいました。中間のメインの曲の頃には馴染んでいましたよとの事。但し今年の乾燥した状態からのエージングの過程は楽器そのものと、ホールの床とが馴染む協調性も含まれていたとの事でした。


楽器と床とが馴染む???うーむ考えた事が無かった。床材やその構造や根太の上か、外れているかはピアノでは大きな問題で承知していましたが、馴染むとはどう言う事だろう。勉強しなくては、スピーカーにも共通する事が有る様な気がします。


来年は演奏開始直前まで練習して汗が引かない内にやってみましょうとのお返事をいただき、今からとても楽しみにしています。



2010年4月19日月曜日

単行本 ”僕のオーディオジコマン開陳” が発刊されました

2010/4/18 発売 僕のオーディオジコマン開陳 著者:田中伊佐資
発行:株ブルース.インターアクションズ


JBLの大型3Wayホーン形システムの製作過程をオーディオ誌の月刊stereoに連載して下さった田中伊佐資氏。
その記事のコラム”オーディオジコマン開陳”を再編集して単行本として発刊されました。
連載では紹介出来なかった事も含めてウッドウイル関連の記事が55ページ以上も掲載されています。
その他音に命をかけた男たちの悪戦苦闘記が盛りだくさんです。
本屋に立ち寄った時には忘れずにお読み(お買い上げ)下さい。


超弩級のこのスピーカーを製作する事となった経過とは?。
5年前の事、過労で体調を崩して東京まで治療に通っていました。
その場所は東京都新宿区神楽坂でした。
初めて行ったその街は新旧の文化が混じり合った小粋な場所でした。
治療の前後に街をぶらぶらしました。
すると何んと言う事か月刊stereo誌の音楽の友社がすぐ近くです。


私は気に入った作品が出来上がったら月刊stereo誌に掲載してもらおうと計画していました。
しかし、私がオーディオを始めた頃すでにあった専門誌です。
編集長は業界の生き字引みたいな方ですのでそこに売り込みに行くのは勇気が必要でした。


ちょうどその頃にウイングが完成していまして作品の用意は出来ていました。
治療に何度も通いながら音楽の友社の前を通り過ぎます。
きっかけはどうであれこれも何かの縁だとふっきって編集長へアポを取りいざ、売り込みに。
私はこれこれ云々こう言う者です、こんな作品が出来たので御誌で紹介記事に掲載してもらえないかと。


ふむふむ、丁度来月号に関連特集があるので掲載しましょうとあっけなくOKがでました。
2005年8月号に1ページフルで掲載していただきました。
案ずるより産むが易しではありますが、活動や作品を見切られては次の機会は来ないのですから、
こちらは薄氷を踏むようでひやひやものでした。


その記事が掲載された同月の事です。
その月刊stereo誌にコラムや特集記事を寄せているオーディオライターの田中伊佐資氏から連絡が来ました。
記事を見たので訪ねたいのだがと、反応の速さに驚きながら到着を待ちました。
そこからの詳細はこの単行本に詳細に記されているので是非続きを読んでいただきたいと思います。
ただ田中氏がただ者で無いのはウイングが10cm2Wayであったのに同構造で38cmを搭載すると決断した事と、
さらに大型のウッドホーンを加えた事でした。
自信作のウイングの可能性を見出してくれた訳で、以後同構造のシステムの受注が連続します。
未だ未完成の作品が4作品ほどあります。


その後も神楽坂への治療は続きましたが、この治療院がこの街にあったおかげで過去最大の
(機能も品質もサイズも価格も)注文をいただいたと話すと、過労でめげているのに
タダでは起き上がらないのね!と褒め言葉かあきれられたのか、分野が全く違うのに
待合室に以後連載となる月刊stereo誌を置いてくれたのには感謝でした。
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2010年4月8日木曜日

独立開業して11年目に入りました

2000年4月に開業しまして今月で11年目に入りました。


準備期間に2年間を費やしましたので併せて13年間この仕事を続ける事が出来ました。


皆様にはただただ感謝の気持ちで一杯です。




暖簾分けの仕事では有りませんでしたので顧客がゼロからのスタート。


それどころかこの世にお客様が存在するのかも分からずのスタートでした。


世の中はバブル崩壊後の不景気のどん底でした。


友人からは大博打を打ったなどと冷やかしとも嘲笑とも取れる声が聞こえてきました。




当初は毎日毎日数千円のMDFのオーダーキットばかりを製作していました。


完成品どころか組立させてくれる注文もありませんでした。


6千円のキットでも手を抜く事は怖くて出来ませんでしたので全精力でもって製作にあたりました。


その内にキットを組み立てた状態で注文が来ましたので1万円程の仕事が入るようになりました。


そうして大きなキットや中には塗装仕上げまでと言う仕事も入って来る迄に何年かかった事か。




休みは正月だけ、疲労困憊で寝込みはしましたが休みは取れませんでした。


疲労が重なり体調を壊した事も大作に取り組んでいる途中に大怪我も。


今でも勇気を持って休んでいる程度です。




でも駆け出しのこの頃の単純な作業の連続が私の腕を上げてくれました。


正方形の箱を1個作るのは簡単、ちょっと寸法が違っていても直角で無くとも歪んでいても気が付きません。


全く同じ物を二個作るのは想像以上に大変で、どのように重ねてもがたつきや直角がずれていては駄目。


協力者探しで分かった事ですが、家具製作10年以上のベテランでも実は出来ない人が大半でした。




拘りのお客様の目に留まり良い材料、機材でシステムを依頼されるようになって来て


少しだけこの仕事への実感が掴めて来たように思いました。


その時点で可能なベストの作品を合間に発表して来たのが良かった様に思います。


色々な媒体で紹介される事もあり、その意欲作が評価されて来たように思います。


その間にお客様の思いのこもった熱い作品がHPに掲載、蓄積する事も出来ました。


チューニングの基本とすべくコンサートに多く出かけてその音と感動を心に刻んでいます。




こんな事の繰り返しで今まで走って来ました。


少し前からは前加工などの協力者を募ったり製作者を教育する計画も進めています。


当方では意識せずとも、どうしても高度で高機能、高価格な仕事へ移行してしまいますので


その対策も兼ねての試行錯誤を始めています。




このブログを読まれている方は皆様、一家言の持ち主と想像します。


ちょっと出のメーカーや製品、技術などには慎重で疑り深く、そして興味津々です。


ウッドウイルはこの10年で業界の方達にやっと相手にされるようになって来ました。


各種問い合わせするとウッドウイル知ってるよ!この機材使ってくれない!などのお誘いとか


知らない方からの紹介で問い合わせなどの不思議な嬉しい体験が多くなってきました。


継続は力成りと言う事でしょうか。


製造業の空洞化はスピーカーも例外では有りません。


国内に試作特注するスピーカーの製作所が減った?。


個人工房が大手メーカーの試作や研究用の特殊作品の依頼を受けるのも日本の製造業の衰退化、


などと考え込んだりも致します。




開設当時は製作数は月間数十台が今では年間十数台程度になって来ています。


当然に作品1個あたりの単価は当初よりも一桁、二桁は上がってきています。


これは当方がコントロールで出来る訳が無く、お客様の希望がそうなって来ている結果です。


決して低価格の作品をないがしろにしている訳では有りませんが、今後は昨年発表した


100%バーチ合板ラウンドエンクロージャーなどが最低価格帯になろうかと思っています。




ウッドウイルはお客様の希望に従って一品物、注文製作に特化して中級機からハイエンド迄の


作品を今後も製作続けられればと願っています。


皆様、今後もよろしくお願いいたします。

























2010年3月27日土曜日

プロの試聴

ウッドウイルのお客様の九割以上は一般の方ですが、


中には大学の研究用、メーカーの試作評価用、業務使用などもあります。


それらは大変に興味深い内容なのですが、公開する訳に行かないのが辛い所です。




最近、メーカーの試作評価用エンクロージャーを製作してその立ち会いチューニングを行いました。


一般のお客様にも人気のオプションですが、私がかなり細部まで気にしている様な微妙な音の変化の


全てを理解して頂くのは難しくとも、依頼者好みの音質に変わって行く過程を体験しながらの


音の変化は大変面白く夢中になって行いますので一日があっという間に過ぎてしまいます。




さて、メーカーの担当者の立ち会いチューニングとはどの様な経過をたどるか楽しみでした。


事前に仕様は確認済みで完成画像でも確認済み、作品の物理的な説明も質問も皆無。


持参された常用と思われる各ジャンルが網羅されたCDでいきなり試聴です。




現状の仕様と試聴結果を一曲一曲メモを取る官能評価が始まります。


チューニングが僅かに変更されてもその仕様と同じ様に曲を聞いてメモします。


それを可能性のある限り何通りも試行錯誤します。


その都度、各回の仕様と試聴感想メモを確認してベストな方向へと行きます。


音質調整用の補強板の僅かの移動で的確にその特性を言葉で指定されます。


嬉しい(分かっていますね)様な怖いような。




一般の方は自分が満足すればそれで完成ですが、物づくりをする側はそうは行きません。


仕様の変化が音の変化となる事を五感で認識する必要が有ります。


その認識を言葉、文章で表現する必要が有ります。


その変化からベストな方向を目指す為に具体的な方策を考え出さねばなりません。


その実現の為にシステム構成やパーツなどに置き換えてそれを実現させます。




官能評価も一般の方が経験を積んで獲得した評価方法とは違います。


聴能形成学と呼ばれる手法で、聴覚情報を獲得し、体制化する知覚、認知の仕組み、


音響情報の抽出・処理・記録・伝達を含む音響機器の最適化を行う。


知覚心理学、聴覚認知論、聴覚医学、楽器音響学、音響情報工学、音声情報工学など多彩です。




さて、その様なアカデミックなお客様に対して当方はどの様に対応しているのかというと、


物づくりの経験、試聴に使う音楽ソースの演奏家のコンサートに足げく通って音感を向上維持させる。


それが基本です。今までの趣味としてのオーディオ経験(40年以上)や職業上得られた音楽体験(20年)も


役立っている事と思っています。それに何より音楽が好きでオーディオが好きです。



2010年3月10日水曜日

FH+BH(フロントホーン+バックロードホーン)の試作

DSCN5115


Westminster_01


なかなか完成しないFH+BHですが試聴/試作も終わりまして、


最終設計と製作図面を完成させて現在製作中です。


使用ユニットはF社の限定13cmフルレンジFE138ESRです。




若い頃からBHの迫力有る中低域に魅了されて聞き続けて今したが、


主にクラッシックを愛好する方達へのスピーカーシステムを作り出していますと


アンバランスな音質と言う事に嫌でも気づかされ、疑問符が大きく付いてしまっていました。




構造的にBHは中低域(中域と言ってもかなり低い辺りです)が長い音道を通りますので


特徴的な音質となりますが、ここではその性質は嗜好の範囲で好意的に捉えています。


問題はユニットから直接伝わる中高音にはホーンロードがかかっていない事です。


ユニット振動が空間へ音波として伝わる音変換に異種類の性質を持っている事がアンバランスを生じさせます。




その為も有りましてBHは製作をお断りして来ました。


またそれらは長岡先生のコピーで有る事が多く、師とは同じ物を作らないポリシーにも反するものでした。




経験を積んでその解決方法にFHを加えてはどうだろうかと考えるに至りました。


感謝すべき事にその考えに賛同下さったお客様の希望で製作していますのが今制作中の作品です。


詳細は例のごとく完成後に詳しく掲載させていただきますが、今は初期の試聴機の画像を掲載いたします。


何とも無骨な姿ですが、参考までに載せたタンノイのFH部分は近い印象になるのではと思います。


少しはお洒落になります。本体は同カンタベリーシリーズの雰囲気になろうかと思います。




最後に音質ですが、BH部は誇張無く、不要振動は完璧に抑えて癖が極力出ない様にします。


FHはBHとのメカニカルクロスオーバーを慎重に設定する事、ホーン臭さが出ない程度のホーンロードを


加える事、等を考慮した結果は、BHだけで聴く、FH+BHで聴くの比較では


BHだけで聴きたいと思う方は恐らくいないだろうと言える程に自然に空間に音が溶け込みます。


勿論ですがノーマルの13cmフルレンジだけで聴くのとはまるで世界が違う品質の音が再現されます。