2011年10月1日土曜日

3月11日昼に届いたスピーカーユニット

事前の打ち合わせに従い、製作依頼を受けたエンクロージャーに搭載するスピーカーユニット


JBL CONTROL 328C(天井埋め込み用20cm2Way同軸型)が3月11日の昼に届きました。


その2,3時間後にあの震災発生でしたが、仙台から3月10日に発送された物です。


 


何と言う事だろうと思いながらも、通常でしたら受け取った旨の連絡を入れるのですが、


流石に現地はそれどころではないでしょうから控えました。


よくよく考えて連絡したのは2ヶ月後ですが、パソコンからのメールは届きました。


幸いに津波の被害は無く、ご家族も無事で何よりでした。


多くは語っていただけませんでしたが建物や家の中は相応の被害に遭われた事と想像します。


 


このユニットを搭載する作品が完成してもうすぐ納品となります。


CONTROL 328Cは中々の実力者です。中低域に厚みがありボーカルはリスナーの背中を超えて後ろまで


届きそうなリアルさです。20cm2Way同軸のホーン型でクロスが何と1.9KHzです。


この意味を分かって下さると嬉しいのですが。


昨年再度マスタリングされたビートルズのHere Ccome The Sun 、何とも再生の難しい曲ですが、


CONTROL 328Cは見事にボーカルもギターもエネルギッシュに鳴ってくれました。


おかげでアマチュアバンドをされているお客さんと一緒に聞きながら楽しく会話が出来ました。


とにかくお客様が無事でユニットもあわやの惨事から救われた事は本当に良かったと思っています。


近々ホームページに作品を紹介いたします。


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今年の登山

退院数ヶ月後にリハビリと長い運動不足とリフレッシュを兼ねて今年も登山を行った。

そもそもこの地に住んでいるのは自然に接し、山もスキーも気軽に出来る事がある。

でも納期遅れを出している身としては小さくならざるを得ません。

肩は思う様に動かなくても足腰は元気なのです、済みませんです。


昨年から今年は北アルプスの双六岳周辺を歩こうと計画していました。

体力は落ちているから山小屋泊まりと考えていたのですが、メインイベント登山に備えて

登った白馬大池での山小屋が超絶混みで完璧に不快で頭に来る/嫌気がさす等で

装備を再点検、殆ど総入れ替え、軽量化して夢の様なテント泊まり登山が実現しました。


先ずは地元の八ヶ岳、霧ヶ峰、足を伸ばして湯の丸高原の日帰り登山。

次に北アルプスの白馬大池~白馬岳~大雪渓の一泊登山。

メインイベントに双六岳周辺/鏡平/三俣蓮華等の三泊テント登山。

締めは秋の八ヶ岳の硫黄岳と根石岳。


どの登山も帰って来ると足の筋肉痛はありますが肩も腕も軽くなります。

きっと登山中に色々な動きをしているのが良いようです。

頭もスッキリして最高の気分転換です。


 


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湯ノ丸高原の湿原を遠望

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八ヶ岳の主峰を望む

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白馬岳山頂

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北アルプスの鏡平


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槍ヶ岳と穂高を奥地から遠望


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双六岳キャンプ場(右端手前が我が家)



2011年9月5日月曜日

チェロの再生

今年もN響次席チェリストの藤村さんの演奏を聴きました。


前回お会いした時に楽器自身のウオーミングアップに加えて演奏会場の床との


協調も重要だと言われていました。


チェロはエンドピンというピン状の先を床に刺しシャフトで繋ぎ楽器を支える構造ですので


床に振動が直接伝わる事は理解していました。


今年も例の如く正面(チェロが倒れると届く程の距離)で靴を脱いで裸足で聞いてみました。


驚く事に足裏には想像以上の振動が伝わります。


楽器の音に加えて床の振動音も聞いていたのだと明確に理解出来ました。


 


弓で擦った弦その物の音と駒で弦の水平振動を垂直振動に変換して表板を振動させ、


胴体内部の共鳴を誘い胴全体を振動させ、更に魂柱で裏板に直接振動を伝えて協調する。


そんな楽器全体の振動(響き)と床振動をも加えた音を我々は聞いている訳です。


壁や天井の振動も反射音も加わっている事は勿論です。


 


比べてスピーカーなのですが、当工房の無垢材スピーカーは積極的にエンクロージャーを


共振させて良好な響きの音色を引き出していますが楽器には遠く及びません。


エンクロージャーは振動してはならない、再生音はユニットからの振動板の音だけで


有るべき!と言う考え方が主流なのは承知していますが納得出来無い領域もあります。


チェロの振動量は微々たる物ですが振動面積が大変広いのに対して、


ユニット振動板はかなり狭く、それを補う為に振動量(ストローク)でカバーしています。


 


中域や高域の再生には広い振動板面積は原理的には不要ですが、


では何故ヴァイオリンなどはあの様に大きいのでしょう?


今回聞いていて思ったのは振動板のストロークは小さくて良いから良く響く


広い面積のユニット振動板とそれを納めるやはり心地良く響くエンクロージャーが


必要では無いのかと言う事です。


 


最近、広面積平面振動板スピーカーを聞き、その音質改善を検討する機会がありました。


アイディアは良いのですがそれを具体化する加工技術が拙く問題大でした。


 


つき板張り仕上げのエンクロージャーを製作する時には、本体が完成してからつき板を


張るのですが、ユニットの開口部を塞ぐ様に張り、アイロンで熱しますのでつき板は


障子紙の様にピーンと強く張っています。薄さは0.2~0.3mmです。


開口部穴の面積を持った振動板と言う事が出来ます。太鼓の皮とも言えるでしょう。


そのつき板をはじいた時の張りがあって反応の良い軽々とした音に何時も惚れ惚れします。


ユニットを取り付ける為にそのつき板をくり抜くのがもったいない様な気になります。


チェリーやメープル、ウオールナットにオーク、樺などの響きは素敵です。


薄板無垢材の素材のままの響きです。


 


その振動板を取り出してユニットの駆動回路と連結する構想で考えますと


エンクロージャー前面とほぼ同面積で響かせる事が出来る筈です。


エンクロージャー素材も構造もその響きを妨げ無いどころかより積極的に響かせる、


それこそが電気音響技術の可能性の秘めた所です。


未だ見ぬ(未だ聞かぬ)その世界を創造しつつ実現出来たらすばらしいだろうと


思いにふける今日この頃です。


 



制作活動中です。

前回書いた内容とたいして変わりませんが...。


 


生来、体は丈夫な方では無かったが学生時代に鍛えたので


体力、筋力には些かの自身が有った。


そういえば独立前に家具作家で手工具の仕込みを教わった先生の奥さんから


主人は体がきつそうよ...と言われた事があったが気に止めなかったし


事実、ほんの少し前までは忘れていた言葉であった。


 


面倒な事や辛い事、疲れる事を目ざとく察して手を出さない賢い人がいるが、


当方はそんな知恵は働かず馬鹿正直に始めてしまい、後から気が付いてしまったと


言う事が良くあるので困ったものだ。


 


体調万全だったから気にしていなかったが、今は少しは考える様になって来た。


最近の例では...ビスケットジョイントの穴開け加工を例に取ってみよう。


接着強度を高める連結材を埋め込む加工でウッドウイルの作品には欠かせない作業です。


20cm口径用のエンクロージャーペアではビスケットの数は約100箇所です。


穴開けは接合部両面に必要なので穴加工数は約200箇所です。


ビスケットジョイナーと言う穴開け加工する電動工具が約3.5Kgで、


材料を揃えてその機械を正確に構えて押し込んで穴開けしますが、


一列の加工が終わると材料の位置を変える為に機械を置き、再度持ち直して加工します。


姿勢の関係で片腕で持ちますが、その回数が置いて構えてで約100回です。


バーベル運動で3.5Kgを100回左右上下させながらの運動はどの様な負荷となるでしょう?。


 


昨年製作した46cmサブウーファーエンクロージャーでは穴数が約400個で持ち替え


回数は200回。未公開の76cmサブウーファーでは数えるのも恐ろしい...。


これは鉋削りや他の作業に比べればかなり楽な方の作業なのですから、


冷静に考えるとかなりハードな作業を無考慮で行っていた事となります。


この辺に賢さや知恵が足りない理由が有る訳ですね、気が付くのが実に遅い。


 


またパソコンのトラブルの話です。


思えば昨春にウインドウズ7proに変えてからトラブルが始まっています。


やっと手作業で回復させたホームページのデーターが治まっていたHDDのシステムは


MSから勝手に送信されてくるアップデートに答えたらウインドウズが立ち上がらなくなった。


調べたら被害者が相当いるみたいです。


泣きっ面に蜂でプリンターが「ガガガガッ」と叫んで壊れ、


ついでに携帯も壊れるという不思議な連鎖が生じています。


早くこの悪夢から覚めたいものです。


 


携帯の使い道は出先で作品の画像を見てもらう為になるべく高画質で大画面を。


Wi-Fi対応で無線LANでホームページも閲覧出来る事。


移動中は音楽再生する等々からメモリーカードは大容量の物を。


殆ど工房に居るから携帯での電話やメールはあまり必要有りませんけど


そうしたらスマートフォンしかないと窓口で相談したら通信費用が月に最低でも


7~8千円必要でアプリを入れたらどんどん高くなります。


NHKの受信料、有線TVの契約料、プロバイダーやホームページの契約料、固定電話に


新聞代等々考えたらスマートフォンとガラパゴスの中間みたいな機種が有って、


通信費は従来並でそれに決まり!、スマートフォン手に出来るのは何時になる事やら。


 



2011年7月16日土曜日

しばらく製作作業を休んでいました

ブログに入院生活の事(かなりの長編)を書き込んでいましたが、


昨年の大物製作の無理と日々の体へのメンテナンス不足で肩が動かなくなり


入院/手術/リハビリと製作をしばらく休んでいました。


皆様には大変ご迷惑をおかけしまして申し訳ありませんでした。


お陰様で現在はかなり回復しまして既に製作開始しております。


完成作品の紹介も随時掲載していきますのでお待ち下さい。


 


併せてホームページの更新が止まっていました。何故か昨年からパソコンの不調に悩まされております。メールの仕事用フォルダーだけが消えて無くなる、重要ファイルが半年も前の履歴に戻ってしまう、ハードディスクが壊れシステムが起動しなくなる...バックアップを取っていたはずのホームページのデーターが半年以上前の古いデーターに逆戻りしまして、ファイルを全て手作業で更新するという事態となっていました。既に回復させましたがその間、更新したくとも出来ない状態が続いていました。


皆さんもバックアップは考えておられるでしょうが、ウッドウイルの現在のバックアップ体制はシステム回復用内蔵ハードディスクを2台用意し、そのディスクには時間差を置いたデーターのバックアップもしています。RAID構成のハードディスクによるバックアップはハードの故障時には有効ですが、誤操作でデーターを削除したり変更した様な場合にはそのままバックアップされますので危険です、時間差を置いたバックアップが別途必要です。更に外付ハードディスクに日々データーのバックアップを取っています。専用ソフトを使ってバックアップするフォルダー等を設定していますのでいとも簡単に必要なバックアップが可能となっています。


痛い思いをしたので慎重な対応となりました。皆さんもどうか気をつけて下さい。


 


 


 


 


 



高齢化による難聴

ウッドウイルのお客様の中心は50代から60代です。


専門書によれば高音が聞こえにくくなり始める年齢との事ですので、スピーカー作りも何か対策を考えなければならないのか??と常々考えてはいました。


物理特性だけを考えれば高域をブーストしたレコードのRIAAカーブみたいなプリエンファシスを加えれば、高域特製が減衰した高齢者の聴覚と併せるとフラットには出来そうです。


知り合いの業界の方は自身の可聴帯域は20Hz~20KHzだと固く信じています。たまたま私は高校生の時に物理の実験で自身の可聴帯域を測定する機会がありました。結果は18KHzでしたが、同級生の中では16KHzまで聞く事が出来るのが大半で18KHz迄は少数でした。担当教官によると人の持つ能力の限界が20Hz~20KHzであって誰もが聞こえる訳では無いとの事でした。そんな事から気楽に考えていたのですがその業界の方は勧めても測定に応じようとはしませんでした。気持ちは分かる様な気がします。人間には100mを10秒切る走力を持ち合わせている人がいるからと言って誰もがそんな事は出来ないのと似ている様な気がします。


仕事で日常的にスピーカーの再生周波数特性を測定していますので分かるのですが、10KHzを超えるとその上はかなり微妙になって来ます。20KHz超を超える測定結果と測定中に実際に聞いている聴感上の感覚はなかなか一致しません。


クラッシックのコンサートに良く出かけますが聴衆は殆ど中高年者ですし、演奏家の年齢層もかなり高いオーケストラもあります。指揮者に至っては高齢者が幅を効かせています。そうすると高域特製が減衰した者同士が演奏して聞いて楽しんでいるのだからそれでいいのか!とも思ってしまいます。


そんな折、有る業界で高齢者(年齢による、又は病気による)に聞こえやすいスピーカーの開発をしているとの事です。直ぐに思いつくのは可聴帯域の事でしたが事はそんなに単純ではなさそうです。小さな音が聞こえなくなりTV等の音を大きくして周りの健常者との調和が乱れるのは実家でも起きているので理解出来ます。しかしよく調べると音が小さいから聞こえないのでは無くて、ノイズの様に聞こえてはいるが明瞭度が無いので識別出来ずに聞こえないという問題も多いのだそうです。


老人ホームでは広間のTVの前にいる方達が大音量で聞いているので、他にいる方達が会話が出来ない、医師の説明が患者に伝わらず等々のこの種の問題が表には出ていませんが深刻になる様相を呈しているそうです。


HiFi再生の前に明瞭度の優れた再生装置の開発が望まれ、その先に音質も付加されるというイメージになるのでしょうか?。ウッドウイルでも既に関わりを持って来ているので更に詳しい説明が出来る事もあろうかと思います。


 


 


 


 


 


 



2011年7月15日金曜日

サントリーホールの二日間

サントリーホールでホールのイベントの一つである6月のコンサートと五嶋みどりのリサイタルを聞いて来ました。


イベントコンサートは


.チェロに堤鋼でサントリーホールの支配人でもあり、ソリストとして何度か聞いている。


.ヴァイオリンに竹澤恭子、ブラームスの演奏に生涯を捧げている様です。


.ヴィオラに豊嶋泰嗣、国内オケでは主席で演奏しているのを何度か聞いている。斉藤記念にも参加されている。


.ピアノにメナヘム.プレスラー、高齢だがかなりの実力者だそうであり初めて聞きました。


演奏曲目はシューマン:ピアノ四重奏/ドホナーニ:弦楽三重奏の為のセレナード/


ドヴォルザーク:ピアノ四重奏曲でした。


感想としては個人の力量は素晴らしいのに今回の四重奏では感動は無かった。無味無臭の素っ気ないイベントの最終日を飾るコンサートとしては如何な物かと静かに帰りました。


 


この日のコンサートに対して次の日の五嶋みどりは圧巻です。伴奏のピアニストを変えた様ですが息も表現もピッタリです。演奏曲目はモーツァルト/ヤナーチェク/ラベル/ベートベンそれぞれのピアノとヴァイオリンのためのソナタでした。美しいメロディーラインの曲とは違って取っつきにくそうな難しい曲の連続でした。


一曲目が終わって周りの観衆が囁くには音楽会ではなくて演劇でも観ているみたい!。それ程に音楽表現が豊かで私も全く同じ感想を持ちました。毎回進化しています。素晴らしい。きっと他の方が演奏したら難解で難しいだけの演奏となっていた筈ずと思いました。


今回は先行予約のS席でしたが一番外れの席で音質を判断する事は諦めて音楽を楽しみました。座席指定の出来ない先行予約は次回からはしない事に決めました。あと、室内楽ではサントリーホールは大き過ぎて音響が良くない。東京オペラシティーホールや浜離宮朝日ホールなどの中型ホールが良いのですが、そうそう希望通りの環境には巡り会いませんね。