2010年3月27日土曜日

プロの試聴

ウッドウイルのお客様の九割以上は一般の方ですが、


中には大学の研究用、メーカーの試作評価用、業務使用などもあります。


それらは大変に興味深い内容なのですが、公開する訳に行かないのが辛い所です。




最近、メーカーの試作評価用エンクロージャーを製作してその立ち会いチューニングを行いました。


一般のお客様にも人気のオプションですが、私がかなり細部まで気にしている様な微妙な音の変化の


全てを理解して頂くのは難しくとも、依頼者好みの音質に変わって行く過程を体験しながらの


音の変化は大変面白く夢中になって行いますので一日があっという間に過ぎてしまいます。




さて、メーカーの担当者の立ち会いチューニングとはどの様な経過をたどるか楽しみでした。


事前に仕様は確認済みで完成画像でも確認済み、作品の物理的な説明も質問も皆無。


持参された常用と思われる各ジャンルが網羅されたCDでいきなり試聴です。




現状の仕様と試聴結果を一曲一曲メモを取る官能評価が始まります。


チューニングが僅かに変更されてもその仕様と同じ様に曲を聞いてメモします。


それを可能性のある限り何通りも試行錯誤します。


その都度、各回の仕様と試聴感想メモを確認してベストな方向へと行きます。


音質調整用の補強板の僅かの移動で的確にその特性を言葉で指定されます。


嬉しい(分かっていますね)様な怖いような。




一般の方は自分が満足すればそれで完成ですが、物づくりをする側はそうは行きません。


仕様の変化が音の変化となる事を五感で認識する必要が有ります。


その認識を言葉、文章で表現する必要が有ります。


その変化からベストな方向を目指す為に具体的な方策を考え出さねばなりません。


その実現の為にシステム構成やパーツなどに置き換えてそれを実現させます。




官能評価も一般の方が経験を積んで獲得した評価方法とは違います。


聴能形成学と呼ばれる手法で、聴覚情報を獲得し、体制化する知覚、認知の仕組み、


音響情報の抽出・処理・記録・伝達を含む音響機器の最適化を行う。


知覚心理学、聴覚認知論、聴覚医学、楽器音響学、音響情報工学、音声情報工学など多彩です。




さて、その様なアカデミックなお客様に対して当方はどの様に対応しているのかというと、


物づくりの経験、試聴に使う音楽ソースの演奏家のコンサートに足げく通って音感を向上維持させる。


それが基本です。今までの趣味としてのオーディオ経験(40年以上)や職業上得られた音楽体験(20年)も


役立っている事と思っています。それに何より音楽が好きでオーディオが好きです。



2010年3月10日水曜日

FH+BH(フロントホーン+バックロードホーン)の試作

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なかなか完成しないFH+BHですが試聴/試作も終わりまして、


最終設計と製作図面を完成させて現在製作中です。


使用ユニットはF社の限定13cmフルレンジFE138ESRです。




若い頃からBHの迫力有る中低域に魅了されて聞き続けて今したが、


主にクラッシックを愛好する方達へのスピーカーシステムを作り出していますと


アンバランスな音質と言う事に嫌でも気づかされ、疑問符が大きく付いてしまっていました。




構造的にBHは中低域(中域と言ってもかなり低い辺りです)が長い音道を通りますので


特徴的な音質となりますが、ここではその性質は嗜好の範囲で好意的に捉えています。


問題はユニットから直接伝わる中高音にはホーンロードがかかっていない事です。


ユニット振動が空間へ音波として伝わる音変換に異種類の性質を持っている事がアンバランスを生じさせます。




その為も有りましてBHは製作をお断りして来ました。


またそれらは長岡先生のコピーで有る事が多く、師とは同じ物を作らないポリシーにも反するものでした。




経験を積んでその解決方法にFHを加えてはどうだろうかと考えるに至りました。


感謝すべき事にその考えに賛同下さったお客様の希望で製作していますのが今制作中の作品です。


詳細は例のごとく完成後に詳しく掲載させていただきますが、今は初期の試聴機の画像を掲載いたします。


何とも無骨な姿ですが、参考までに載せたタンノイのFH部分は近い印象になるのではと思います。


少しはお洒落になります。本体は同カンタベリーシリーズの雰囲気になろうかと思います。




最後に音質ですが、BH部は誇張無く、不要振動は完璧に抑えて癖が極力出ない様にします。


FHはBHとのメカニカルクロスオーバーを慎重に設定する事、ホーン臭さが出ない程度のホーンロードを


加える事、等を考慮した結果は、BHだけで聴く、FH+BHで聴くの比較では


BHだけで聴きたいと思う方は恐らくいないだろうと言える程に自然に空間に音が溶け込みます。


勿論ですがノーマルの13cmフルレンジだけで聴くのとはまるで世界が違う品質の音が再現されます。 





2010年2月28日日曜日

バンクーバー 地元が銀メダル !!

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バンクーバーオリンピック、女子スピードスケートパシュート
(団体追い抜き)種目で銀メダル獲得!!shine

この種目には田畑真紀、穂積雅子、小平奈緒さんらが出場しました。
小平奈緒さんは地元茅野市の出身です(両画像とも右の人)。
話題の中学生、高木の出場機会はありませんでした。

1位とは僅か0.02秒差のレースでしたのでTV観戦していても
熱く、緊張し、ハラハラする見応えのあるレースでした。

今回のバンクーバーで地元選手(同じ市の出身です)の活躍は
.スピードスケート
 .小平奈緒:パシュートで2位/500mで12位/1000mで5位/1500mで5位
 .吉井小百合:500mで5位/1000mで15位/1500mで26位
 .名取英理:3000mで21位
.ショートトラック
 .酒井裕唯:500mで予選落ち/3000mリレーで7位

皆さん熱い戦い、ご苦労様でした。
感動をたくさんいただきました。
明日早朝で閉会式、アッという間の2週間でした。
明日から寝不足回復せねば(汗!)。


2010年2月4日木曜日

地元からバンクーバーへ4人出場

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2月12日から始まるバンクーバー冬季オリンピック大会。


ウッドウイルの工房が有る長野県茅野市から4名もの選手が出場します。


同じ地区(部落)からも1名が出ますので地元は盛り上がっています。


全出場選手が94名ですからちょっと凄い確率ですね。


.スピードスケート 500/1000/1500m 出場の吉井小百合(同じ部落です)


.スピードスケート 500/1000/1500m/チームパシュート 出場の小平奈緒


.スピードスケート 3000m 出場の名取英理


.スピードスケートショートトラック 出場の酒井裕唯


体育館に集まって応援しようと思います。




この辺は雪は少ないのですが寒さが厳しくスケートには向いている様です。


私の田舎の旭川も同じ様で(雪多く寒さも倍くらい)中学女子の同級生にオリンピック選手がいました。


中学生で参加する髙木美帆が話題ですが、その時の私の知っている同級生の子の様子はと言うと、


運動会やマラソン大会は男女含めてぶっちぎりの一番、体育の各種の運動もインストラクターが


演じている様でした。勉強もできて性格が良く更に綺麗だったので学校中の人気者でした。




数年前に銀行で順番を待っているとカウンターに吉井小百合が来ました。


直ぐうしろにいたのですが、夏の暑い日でTシャツにショートパンツの彼女の後ろ姿は


まるでイルカの様に体が弾けていてプリプリしています、それでいて柔らかそうで


ああ、これが世界レベルの人間の体つきなのかと感心しながら見ていました。




本日2/3の21:00にBSジャパンの番組に”にっぽん原風景紀行”


第55景 八ヶ岳の麓氷点下の暮らし ~長野県茅野 が放送されます。


私の部落の小学校のグラウンドがスケートリンクになる様子も紹介される様です。




雪の降った朝、最初に通学路の除雪、次ぎにスケートリンクの除雪、終わってから自宅の除雪、


出社して会社の除雪。もうへろへろで仕事どころではありません。


でもまたオリンピック選手が出たからこの作業は続きそうです。


恐ろしい~と思うのも地元の本音ではあります。 



2010年1月20日水曜日

スピーカーのレトロフィット

古い家具を大規模に修理したり、その材料を使って新しい家具やその他の物を作ったり、色々な分野でこの種の事を行うと思います。業界では広い意味でレトロフィットと呼んでいます。


ウッドウイルでは希望するお客様に答える形でスピーカーのレトロフィットを幾つも手がけてきましたが、私の好きなメーカーのユニットを収集して幾つかのシステムが組める様になったのでHPに発表しました。良かったら覗いて見て下さい。古くて全く使い物にならないユニットも有れば、最新型を凌駕するのでは?と思うような物もあり製作する側としては大変興味深い経験となっています。




JBLの大型3Wayホーン形システムの製作過程をstereo誌に連載して下さった田中伊佐資氏。その記事のコラムは”オーディオジコマン開陳”と言うのですが、この春にこのコラム(6年分)を再編集して単行本として発刊される事となりました。連載では紹介出来なかった事も含めてウッドウイルの事もバンバン出てくる(田中氏の弁)そうなので今から楽しみです。何でもとんでもなく分厚くて常識外に写真が多いのだそうです。



2010年1月15日金曜日

今年の製作予定などなど

ウッドウイルを開設して3月で丸10年になります。


開設当時の数年間は来る日も来る日も1万円程度のMDFのオーダーキットばかり製作していました。


MDFは切ると大量の切り粉が舞いますのでかなり辛い作業が続きました。


年間数百セットは製作していたでしょうか?それでも台所は火の車です(今もたいして変わらないけれど)。


数をこなしたおかげで基本技が嫌でも身に着きました。


ペア製作ですから正確に同じ物を作る、隣り合わせて隙間無く接するなどの普通の基本の技の事です。


数年前から納期短縮を狙って協力者を募って試しに製作して貰うと左右の寸法が違う、平面が出ていない、


角が直角でないので置いてもがたつく等々でベテランの作家でもこれが出来ないのです??不思議不思議。



話を戻して、この数年は年間の製作数が約10セット前後になりました。


お客様から依頼される仕様内容が高度になって来た為であり、決して私がコントロールしている訳ではありません。


したくても出来る訳がありませんね、ご注文内容はお客様次第です。


高度な分、納期も長く必要でお客様にご迷惑をおかけしている事で心苦しく思っています。


ホームページの更新が少なくなり、お客様には退屈をさせている事と思います。



最近発表したロシアンバーチ合板による標準ラウンドエンクロージャーは、今までの経験を基に高機能と


低めの価格設定(それでも高いと怒られています)、短納期を目指してこの問題を解決する手段としています。



比較的簡単な作品の初期段階での下加工を外注する体制は出来ましたが、最近製作している様な無垢材使用の


ラウンドタイプなどは全て一人で行わなければなりませんのでどうしても時間が必要です。


認めたくは有りませんが体力(持久力)の問題も有りまして、当初程は早くは作業出来ない事もあります。


しかし、経験を積んだからこそ今製作している高度な構造の作品が出来る訳ですから納得せざるを得ないか!


と考えている訳であります。



今年、皆さんに紹介できる主な作品は下記です。


.フロントホーン+バックロードホーンシステム


.38cm3WayJBLシステムの三男でLowther20cmフルレンジ、同じく四男のSEAS EXCELの3Way


.ソナス風17cm2Wayバーチラウンドシステム


.超弩級FW800サブウーファー


.改良型のウイング


.16~20cmクラスのバスレフを含んだ一点音源方式のバーチラウンドシステムの開発(開設10年記念作品?)


.レトロフィットとしてONKYO SCEPTERシリーズのユニットを使ったホーン形3Wayの3種類の提案(提案だけ)。


.来年以降にはModel Aokiの改良型数台の製作や38cm3WayJBLの小型化したシステムも決まりそうです。



バーチ合板の標準エンクロージャー(ピアノ塗装)の中で直方体エンクロージャーは廃止致しました。


問い合わせや受注実績から見て直方体エンクロには感心が薄いからです。


この方式は当工房で無くとも他でも入手可能(仕上げは別として)ですから、ご了解頂きたいと思います。



こんな事で今年も頑張って行きたいと思っていますが、手間のかかる高機能な作品は年内製作は難しいかも知れません。


標準エンクロージャーを基本とした物や大きくとも製作期間の短い物も有りますのでお問い合わせ下さい。



2009年12月20日日曜日

今年感激した一番のコンサートは

コンサートねたを懲りずにまた一つ。

今年のコンサートで一番感激したのは?
話し合って決まったのは...
東京銀座に有る王子ホールのトイレットペーパーの柔らかさ!
トイレから出て来た妻が興奮して言った...
世の中にこんなに柔らかい紙が有ったなんて...でした。

王子ホール、そうです王子製紙の本社ビルの中にあるホールです。
企業の取り組みとして音楽活動を啓発している様です。

コンサートの出演は大好きな五嶋みどりさんでしたが、
触覚が聴覚を上回った結果と言う事で決まりました。

ネットで探したら(キーワードは紙とコンサートホール)、
やはり変人がいるもので何処かのブログでランキングがありました。
やはり最高は王子ホールで最低は何とサントリーホールでした。
日本でも最高峰のホールの一つなんですが硬い紙だそうです。
うーんと考えてしまいすが休憩時のワイン(有料)は美味しかった。

因みにこの柔らかい紙は非売品だそうですが、
市販で8ロール6500円もするお宝の様な紙が何処かの
最高級ホテルで使われているそうです。
セレブの世界はそこまで違うのか!

さて来年のコンサートの一番は何になるやらです。