2013年3月8日金曜日

エンクロージャーの響き その4

この掲題の続きです。

長々と説明が続きましたが、実験結果の初期のデータを取得出来ましたので
ご覧下さい。

実験に使ったスピーカーはLo-D HS-500のエンクロージャーに、
20cmフルレンジユニットを搭載して行いました。
 
演奏曲は響きが良く出るであろうとの予測からミッシャ.マイスキーの
バッハ無伴奏チェロのための組曲です。

各画像の上部波形がマイクから拾ったスピーカーユニット正面軸の測定画面で
下部波形がエンクロージャー側板中央の振動センサーからの信号波形です。

 
1.FFT解析波形です。
  ユニットからは約60Hz~7KHz程までの帯域巾を確認出来ますが、
  側板からの振動からは約90Hz~2KHzまでの帯域幅しか確認出来ません。
  演奏曲の特徴も有りますが、エンクロージャー振動の大まかな傾向が掴めます。



2.3D解析波形
  俯瞰した様にユニットと側板との信号の様態が分かります。



3.MAP波形解析
  声紋鑑定で良く見る画像です。赤い部分がエネルギー大、青い部分が
  エネルギー小。周波数分布も分かります。
 


今回は音圧と振動の絶対値は表示せずに単にユニットから出る信号波形と
エンクロージャー振動の信号波形とを比較するに留めています。

この段階でエンクロージャーの任意の振動を把握する事が出来ますので、
従来の経験則による「エンクロージャーを響かせる or 振動を抑えて響かせない」
と言った様な曖昧な表現の客観的な裏付けが取れる事になります。

ここまでは製作側の都合による話です。
でも重要なのはお客様にとってそのエンクロージャー振動の把握がどの様に
納品されるスピーカーの音質向上につながるのか!、
更にはお客様がどの様にしてその効果を確認して音質向上を実感出来るか!
そこが最重要と考えます。

この実験は更に続きます。
エンクロージャーの振動信号が得られたのでこの信号を積極的に応用した、
アクティブコントロールにより電気的にエンクロージャー振動をコントロールします。
物理的な補強等に依らずに振動を制御出来るので、お客様の目前でその効果
(振動の有り/無し)を比較試聴していただく事が出来ます。

別の応用としてスピーカーユニットからは音を出さずに、
エンクロージャー振動だけの音を聞く事が出来ます。
本来の音楽信号にエンクロージャーの振動がどの様に加わり変化するか、
大変興味深い体験が出来る事と思います。

実験の初期段階での感想ですが、HS-500のエンクロージャーは実に良く響いて
盛大に音質を悪化させているのが確認出来ました。
これでも名器と呼ばれた機種なのですから分からないものです。

この実験に使った測定器類などは可能なら上手くまとめて販売も出来ればと
考えています。エンクロージャー振動に悩まされている方のお役に立てれば
と考えています。





















 

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