2013年6月6日木曜日

新作 振動型バッフル スピーカーの計画

ある日、工房でウオールナットの板材を持ち運んでいた時の事、
その板材が耳元でブオーンと言う心地良く低い音色で響きました。

今の音は何だろう!
小さな板材からこんなに豊かな響きが?
もう一度その音を聞きたいと思い挑戦、
しかし、出ない!何故?おかしい?、
悔しいのでその再現の為に調査が始まるのでした(大げさ)。

何らかの振動が加わりそれが上手く共振したのであろう事ぐらいは想像出来ます。
それを先程の材料で再現するには少しばかり工夫が要るようなのです。
複雑ですがそれらは全て物理の法則から導き出す事が後から理解出来ました。

調べてみると楽器で言う所の「音板」と「共振」それに「支点」が関連していそうです。
先程の心地良い音は、偶然にもそれらの各要素を満たした結果だったのです。
板の持ち方と持つ位置、板に対しての耳の位置、
そしてまさにベストポイントに膝っ小僧がコツンと当たったのです。
条件が揃った時、想像以上に心地良く大きな音で響くのです。
まさに全ての楽器がそうである様に。

この心地良い響きの現象をスピーカーに応用すればきっと素晴らし音が出る!
膝っ小僧が当たった単純なタップトーンの単音では無くて、
スピーカーの振動という可聴帯域で響く素晴らしい音源があるのです。
それに板の基本波振動に加えて偶数時、奇数時の振動も加わって
それこそ楽器の様に響いてくれる事でしょう。

直ぐに試作に取りかかりました。
充分に乾燥した響きの良い無垢材達が揃っています。
どの樹種に参加して貰おうか!
音源のスピーカーユニットの選択は?
楽しい悩みが湧いて来ます。








その響きの基本的な動作が上図です。
節から節までの長さで共振する基本波振動に
その間を偶数時、奇数時で分割された振動も同時に生じます。
その積み重なりが豊かな心地良い響きを生みます。
共振する材の厚さ/長さ/巾/面積/質量/等と
それらの要素が絶妙の配分の時だけに上手く働くのです。
エンクロージャーの寸法が多少変わっても音質が大きく変わる事は希ですが、
この方式はデジタルの様に当たると1、外れると冷酷にも 0になってしまいます。














上図はそのバッフルの振動(響き)とスピーカーエンクロージャーを組み合わせた
作品全体のイメージです。
ラフ過ぎて赤面ですが、思いついたイメージを描き止めるのはこんな具合です。
従来のスピーカーと大きく異なるのはその設置方法です。
スタンド又は吊すなどしてバッフルを自由振動させます。

エンクロージャーはスピーカーユニットを駆動する基本通りに用います。
特別な工夫をして振動型バッフルの裏面に取り付けます。
スピーカーユニットは振動型バッフルの表面に取り付けます。

構造から点音源が好都合でフルレンジか同軸型ユニットで。
小容量のエンクロージャーに適したユニットを選択。
試作機での聴感からはバランスの取れた音色とする為には10cm口径以上の
ユニットがお勧めです。

点音源のフルレンジ、同軸を使っても出て来る音は面音源となります。
小さな口径のユニットではストロークを大きくして音量を出しますので、
どうしても無理な音になります。これは比較しないと分からないかも知れませんね。
この振動型バッフルで聞きますと音源の面積が増える為に能率が上がります。
同じ音量でも自然に聞こえうるさく感じません。
使用するユニットの二回りは大きなスケールで音楽が聞こえます。

響きの良い樹を使うので弦やアコースティック楽器は活き活きと艶やかに鳴ります。
心配した打楽器などでの応答性は全く問題が無く、歯切れ良く気持ち良く聞こえる
のは嬉しい誤算です。低音部の強い楽器でもやはり重なり合う様な高周波成分が
含まれると綺麗に聞こえると再認識しました。

但しモニター的に厳格に位相や定位を気にされる方には不向きと思います。
現実のコンサートではあり得ない様な定位も録音で中央にピタッと定位して聞こえ、
それが心地良く感じる楽曲も多くあります。

この新作は近日中に発表します。
ウッドウイルらしく装飾や塗装仕上げにも拘った作品。
最低限の仕上げで済ませて格安に提供出来る作品。
今迄使った事の無い普及機から高級機迄の新ユニットの採用。
メインスピーカーとしても充分に使えます。
サブ機として、又は寝室やリビングでのイージーリスニングには快適で心地良い。
官能的音楽鑑賞に適していると言えましょう。



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