2013年5月15日水曜日

ヒラリー.ハーン バッハ:シャコンヌ



やっとヒラリー.ハーン(ヴァイオリン)のシャコンヌを聴いて来ました。

昨年もリサイタルがありましたが、前衛的な選曲で期待外れでした.

オーケストラを従えての演奏が多くて、リサイタルでしか聞くチャンスが無いこのシャコンヌの演奏は待ちに待ったものでした。

ウッドウイルの試聴室でこのシャコンヌを聞かれた方は多いと思いますが、そのCDの録音は1996年で、今回の演奏までには実に17年もの隔たりがあります。

このCDでの演奏は聞く者を釘付けにする迫力ある力強さに超絶技巧が合わさって、ヴァイオリンの試聴では五嶋みどりと双璧をなすものです。

さて今回の演奏はと言うと、柔らかく優しく曲の表現の巾というか奥行きが深まっています。この間の人生の歩み、体験、その他がこれ程に演奏表現を変えるのですね、今日の演奏のCDが欲しい!。

みどりの録音が無いので私の知る限りではシャコンヌの演奏はこの人が最高です。他の演奏者のシャコンヌを聞いて曲に惚れて、他の演奏者でのCDを探してたどり着いたのがヒラリー.ハーンだったのです。

この様に私が勝手に深く思い入れしていたのですが、完璧に満席だった聴衆も同じ思いを抱いていた様です、演奏中の緊張感や演奏後の拍手が他の曲の3倍は有ったのではと思う程に熱狂していました。
あまりに集中して聞いたので疲れてしまったと言うのも不思議な体験でした。

フォーレのヴァイオリン.ソナタも素晴らしかった。聞き惚れていて目を開けるとヴァイオリンとピアノの伴奏の二人だけの演奏だったのだなと、改めて思う程に音楽が豊かなのです。

演奏会では殆どの時間を目を閉じて聞いています。音楽がより良く理解できる様に思うからです。視覚は脳の全機能の3割を占めていると聞きました。五感や生命維持に感情に記憶にその他諸々....。果たして聴覚はどの程度でしょう?。

今回も目を閉じて、開けてを繰り返して見ましたがやはり音が違います。16bit/44.1KHzのCD品質と24bit/96KHzの高品質音源の例えの様に解像度が違って聞こえます。

目を閉じるとヴァイオリンの弦の音、胴鳴きの音が識別出来てまるで目前で見ている様に音が広がるのに対して、目を開けるとその景色は消えます。しかし見ている為か、ホールの響きや奥行き臨場感は増えて音の華やかさが増して聞こえます。

ここに脳の情報処理の限界が有るのでしょうか?きっと私の脳の限界なのでしょう。悲しいかな視覚と聴覚のマルチタスクには充分では無い様です。

未公開の次回公演案内のパンフレットを配布していました。是非また聞きに行きたいですね。

面白い仕草を見ました。開放弦で弓を擦って演奏している途中に空いた左手で、楽譜をめくっていました。これって普通の事なんでしょうかね。何でも無い様にさりげなく行っていました。