2020年3月23日月曜日

出川氏デモスピーカー2号機改造

A&R Labの出川氏のデモスピーカー2号機を昨年末頃に納品しました。
1号機は数年前に納品済みで並べて聞いて見ると意外な展開に。

1号機は可搬性の為にユニット部が分割式になっており、
それが特異な形状となっているのですが、
音質的には意外にも下記の回析効果減少に役立っていました。
.ユニットから出る音がバッフル面に纏わり付いて中高音を濁らせる事が無い
.バッフル周辺の角で乱反射が生じ、信号に無いノイズが発生する事が生じない
 これにより音場感や定位を悪化させます

2号機には音質改善メカの最新型のコンプリート仕様が搭載され、
ハイエンド機に採用されているラウンド構造にバッフルエッジの曲面加工など、
回析効果の影響を受けない十分な仕様となっていますが、
それでも1号機と比較して今一つスッキリしない音質に困惑しました。

1,2号機も良材を積層してラウンド構造エンクロージャーとし、
定在波無し、吸音材無しのエネルギーを損出しない躍動的な音、
ヒアリングを繰り返したチューニング依る高バランスの音色。
MGES搭載でエンクロージャーノイズを軽減した最高品質のスピーカーです。
高度に追い込んで来た音だから回析効果の影響を聞き分けられ、
それが問題として認識できた訳です。

その様な試聴上の問題点を解決するために改造を行いました。
バッフル面からユニットを飛び出させ、
側板のラウンドと同じ曲線上にユニットを配置する、
構造から飛び出す位置は計算で算出されます。
2度の試作を失敗し、狙った効果は出ても音に癖が出てしまう、
構造的な不安定さが出るなど諸々解決しなければ、
簡単な様ですがMGESと言う複雑なメカ構造がユニット背面に
内蔵されている事も有り、見た目では分からない厄介な改造でした。

実は世界の一部のハイエンド機では同様の取り組みがされています。
相応の高級機でも問題とならない(ノイズが多く気が付く事が出来ない)
取り組みですので一般化されるかどうかはまだ不明ですが、
その効果を数年前から知っているので直ぐに対応する事となった訳です。

中高音の明瞭度が上がります。
その影響で低音の解像度が向上します。
音はユニットから離れ、スピーカーの存在は消えます
目前にステージが再現されます。
定位が良く聞こえるのでは無く、定位した位置から音が生じると感じます。

2019年初めに発表したウッドウイルの試聴機(青のスピーカー)も
同様の改造を施します、さらなる高みの音を狙います。