2009年8月11日火曜日

N響チェリスト藤村氏来られる

ウッドウイル作品の中でも最高峰にランクされる”ウイング”や”Model Aoki”などの
100%無垢材積み重ねラウンド方式スピーカーシステムの音作りの最重要ポイントは
弦の音をリアルで美しく綺麗に楽しめる事です。



そのチューニングのリファレンスとなる音はバイオリンのソリスト五嶋みどりさんの演奏と
”ガルネリ作のデル・ジェスの響き”。
チェロはNHK交響楽団の次席チェリストであり、ソロ活動や独自のユニット等で活躍されている
藤村俊介さんです。氏の楽器は未知ですが何でもベネチュアで1700年代に製作された歴史的名器と言う噂です。



両氏共に数年前からホールトーンに包まれる事の少ない小ホールで至近距離から直接音を聞く事が出来る
幸運に恵まれています。音楽を楽しむのならいわゆるSS席辺りで聞くのが良いのでしょうが、
当方はスピーカーから出る音の評価として敢えて演奏ノイズも加わる至近距離で聞いて
その音色を心に焼き付けて音作りの糧としている訳です。



藤村氏も言っておりましたがレコーディングでは生音よりも綺麗でまとまった音となる操作が
加わる為に、生演奏時の至近距離のそれこそ生々しい音は聞けないのだと。
つまりCDの音に合わせた音作りでは楽器本来の音は表現できない、
生の激しく圧倒する様な音を表現する能力を備えておれば、レコーディングされた
おとなしい優しい音??は余裕を持って再現できる。そんな風に考えての音作りです。



そんな背景の中、藤村氏の演奏する地元ホールのスタッフが氏の音をスピーカー作りの参考に
している人がいると紹介下さり、大変興味を持たれて今年の演奏会後にお話をする機会に恵まれました。
CDを発表していて、ユーザーがどのように再生して聞いているのかは常に気になっていたとの事です。
是非試聴に行きたいと言って下さり、それが先程実現いたしました。



さて、大変です。私の音作りのベースとなる方が来られるのですから。
数曲聞いて、では失礼しますなどと言われたらどうしよう(どうも気が小さい)。
面白い物で、氏の来られる前には試聴機材などをグレードアップするチャンスが
幾つも重なりました。



.軽井沢でのWRアンプ試聴で発見したウイングの隠れた再生能力の発見。
.常用アンプ用自作改造電源内の音楽専用トランスの供給を受けて飛躍的向上を見たアンプ。
.上記常用SATRIアンプの最新型やCDプレーヤーを比較する為の上級機を貸し出して下さったお客様。
.試聴室専用商用電源の改造や各種のケーブル類、インシュレーターに至る迄の再評価とグレードアップ。
.それらの相乗効果でウイングの音質改造に成功する。
.チェロを再生するにはベストのスケール感を持つ納品済みの”Model Aoki”を借用させていただき、
 更にチューニングを施しグレードアップさせる(お客様は喜んで承認下さった)。



そうして迎えた藤村氏の試聴でした。
大学生の夏期合宿講師として来られている限られた貴重な時間の合間での約1時間強程の事でした。
自分のCDを聞くのは恥ずかしいなどと言いながら少しだけこま切れに聞き出しました。
レコーディング時には演奏技法の極限に近い弓使いをしていて、その限界直前の音を聞き取れる事、
その時には腕が緊張を強いられ筋肉が強張るがそれを感じ取れると。
師として尊敬する鈴木秀美氏のバッハ無伴奏を聞いた時には、私にはゆったり心地良く聞こえますが、
師の緊張感と存在感に圧倒されるなどと言われていました。
何点か質問した中の回答として次回に演奏しながら答えましょうと再度試聴に来たいと言っていただきました。
最後の感想として、野球のバッターが球を打ち放った後では無く、今まさに球に当たる瞬間の緊張感を
感じられるとの言葉を残して返られました。



全ての感想を理解する事は出来ませんでしたが、プロの演奏者ならではの感想には只驚くばかりでしたが、
少なくとも興味をつないでいただけた事は間違いなさそうで安心しました。
藤村氏は何の気取りも無く自然体で気さくにお話の出来る方でしたが、
次回は更に深い所まで突っ込んだ話が出きればと期待しています。



その夜は緊張から開放され気分転換にとレストランに出かけました。
そうしましたら集中豪雨と落雷が重なり停電に。(日中で無くて良かった!)
静かにキャンドルサービスでのゆったりした食事を楽しむ事が出来ました。





2009年8月3日月曜日

JBL ランサーL101がやって来た

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仕事で知り合ったアマチュア楽団で活躍されている方、物欲が失せたので大事に使ってくれるならと機材を譲り受けました。その中に民生用のJBLランサーL101が含まれていました。



中学高校時代は真空管アンプを作り続け、アナログプレーヤーもスピーカーも自作でした。当時の国内スピーカーメーカーには御三家(パイオニア/トリオ/山水)があり、パイオニアを含めユニットメーカーも多くありましたのでコーラルやオンキョウのユニットを組み込んでは音作りに明け暮れる毎日を過ごしていました。



高校では電気店で修理のアルバイトをしていた関係で地元オーディオ専門店と通じて、上客向けの展示会などに顔を出していました(高校生で!)。上記完成品スピーカーメーカーには私を満足させる様な製品は有りませんでした(ハイエンド機は別でその存在を未だ知りませんでした)。パイオニアは音が丸く切れが無い、トリオはやたらとユニットが多く4Way、5Wayなどでまとまりが無く、山水は皆腰砕けで張りが無い、などと評論家気取りで聞いていました。唯一違うのはコーラルのBETAシリーズのBHシステムでした。



そんな展示会のある時に国産機の試聴が終わった最後に大人二人がそんなに大きくも無いスピーカーを重そうに運んで来ました。特別に試聴できる機会を得たとの事でした。鳴らし出した瞬間に頭にガツン!!と来ました、こんな生々しく鮮明な音はきいた事が無い。国産のスピーカーがゴミに感じました。それが初めて知る米国のJBL-L101-Lancerでした。ミルトジャクソンのヴィブラフォンが目前に潤をしく迫り、シェリーマンのドラムが踊り出します。



それ以後あの音を追って貧乏高校生は工夫を重ねて本格的にオーディオにはまり込んで行くのでありました。以後、完成品スピーカーを買った事は一度もありません。BHで低音の迫力を追い、平面バッフルで中低域のクリアーさを追う、個人的な音作りは今もあまり変わらない様です。今ではJazz MchineでL101以上のユニットを揃えていますが、その原点は変わらないのです。



そのランサーL101が我が家にやって来たというのは何という巡り合わせ。当面はホームシアターのメインスピーカーとして活躍して貰います。セッティングが終わり、当時と同じ曲をかけたのは言うまでもありません。