2014年3月23日日曜日

コントラバスの重低音


3月21日に聴いて来た五嶋みどりのコンサート、
共演したオーケストラは「ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団」でした。
指揮:リッカルド・シャイーなるオーケストラは初めて聴きました。
みどりと共演するのだから力量を心配する事は有りません。


ここで書くのは音楽の事では無くて、音の事です。
このブログにも何度か書いたと思うのですが、
コントラバスの重低音はステージ奥から音の風、波の様になって観客席に押し寄せて来て、
低音の塊の様に聞こえるから、実際はその音の解像度は分からないと言うのが今迄の感想です。
でもその低音はもの凄く心地良い物ではあります。


アンプラグで、生で聞いてそうなのですから再生音でコントラバスの重低音の質について
何かを語ろうとしても真実みが有りません。


殆どのオーケストラのステージ上の楽器の配置ではコントラバスは観客席から見て上手、
右側奥に有る事が多い様で、たまに下手の奥と言う事も有るでしょう。
重要なのはどちらもステージ床面に接していると言う事です。


これは少し乱暴かも知れませんが、コントラバスは「エンドピン」と呼ばれる楽器下からの金属の
丸棒先端のスパイクを床面に当てて楽器全体を支えているのですが、それでもスピーカーを
スパイクやインシュレーター無しで直置きした時の様なブーミーな音色になるのか?


まさかそんな事は無いでしょう、楽器の胴鳴りと床との共鳴など、考えられる最高の状態で
セッティングしている筈でしょうから。




話を引っ張って済みません。
今回聞いたオーケストラの楽器配置は独特でした。
通常は音が通る様にと言うか、指揮者から演奏家が見える様に奥の方が高くなるひな壇、
おひな様の壇の様に平行に階段状に高くなっているのですが、
今回は半円のすり鉢状になっていて、勿論その底に指揮者が居ます。


驚いた事にコントラバスは下手のステージ最前列から陣取っています、奥ではありません。
一番外側と一段下がってもう一段を5人づつ計10台のコントラバスが陣取っています。
私は前から5人目の席で、ほぼコントラバスの正面、水平距離では7,8メートル程度でしょうか。
ひな壇上のコントラバスの高さは観客席の床から約2メートル程。
ですからコントラバスの音はステージの床を通らずに空間を伝わって直接私の耳に届きます。


演奏者の弓使いもネックの左手の押さえも目前です。
その音は今迄聞いた事も無い様な綺麗で分解能が極めて良い極上の重低音です。
ピッチカートも見ている様に(見えています)良く分かります。


これは問題ですね。
こんな綺麗な低音を聞いてしまったら、他の演奏に不満が出ます。
こんな重低音を再生音で分解能良く果たして出せるのでしょうか!!
自宅に巨大なコンクリートホーンを埋め込んで聞く方の気持ちが分かろうと言う物です。
知らない幸せと、知ってしまった不幸!
またまた果てしない良き音への追求が始まります。
この音を聞いて知ってしまったのですから。





甲子園の巨大スピーカーの謎?
















大リーグと高校野球は大好きな私。


開会式での入場行進を終えて勢揃いした球児が選手宣誓の時に合わせて
全員が横一列になってホームに向かう行進のシーンでは何故か目頭が熱くなります。


閉会式での日本高等学校野球連盟会長の講評、特に先代の話は良かった。
この種のスピーチでは例の無い程に熱く、厳しく、愛情がこもった話には盛大な拍手湧き、
甲子園を包み込みます。きっとTVで観る全国のファンも同じに感じている事でしょう。
この講評を聞いてやっと大会終了を知ります。




さて、掲題なのですが、
バックネット根元の緑のフェンスに「第○○回選抜高等学校野球大会」との表示が有ります。
その「第」の文字の左側に四角いスペースの中に大きな円形状の物が見えます。


アナログ放送の時にはスピーカー(トランペット型)にしか見えませんでした?
地デジになって高画質になり、大画面で見るとパラボラアンテナ?かな?
又は大きな反射板を備えた集音マイク??
どれにしても運営上、この場所に必要な物なの??
直径は50cmは有りそうですね。


添付画像で分かります?
又はご存じの方はいますか?
4K放送になったらきっと分かるだろうと思いますが、
こんな所でTV放送の品質を見極める事が出来るのは面白いですね。


これが何時も気になっていて
この画面に切り替わると落ち着かなくなる私でした。







2014年3月22日土曜日

メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 五嶋みどり

演奏:ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団/指揮:リッカルド・シャイー。
    ヴァイオリン:五嶋みどり
 曲目:メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲ホ短調op.64。
    ショスタコーヴィチ:交響曲第5番ニ短調op.47/他


五嶋みどりのコンサートを聴いて来ました。
ウッドウイルのヴァイオリンの再生音は彼女の音色を基準にチューニングしていますので、
定期的に聴きに行っています。


今回はリサイタルでは無くてオーケストラとの共演でした。
大変メジャーな曲「メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲ホ短調op.64。」の
ソリストとしての演奏です。


メジャーな曲ですが、なかなか国内で五嶋みどりの演奏で聞く機会は少ないのです、
チケットも安くはありませんが、それでも彼女の才能を目前にして聞く事が出来る
幸せをありがたいと思わずにはいられません。


2、3年程聞く機会が空いた為に私の期待度が高まったのか、彼女が更に進化したのか、
演奏に心酔したと言うか、感動と言うのか、何と言ったら良いのか分かりませんが、
とにかく他では感じる事の無い深い思いを感じさせてくれる演奏です。


同曲のCDは2003/9のベルリンフィル/マリス.ヤンソン指揮で何度も何度も聞いてはいますが、
果たしてそれから11年の間での変化は...
音色の色使いが増えている、曲への理解度が深まっている、
その演奏を見ていて思ったのは
  深山の巨木が周りの樹木をも巻き込んで一体となり
  風雪に耐え忍んでその樹形が曲がりくねり瘤を抱えながらも生き続けている生命力、
  華奢な体でヴァイオリンを抱え込んで苦しむ様に悶えながら演奏するその姿を見ていて
  そんな光景を見ていた様に思うのです。


もう充分に熟達しているので、その術を綺麗に上手に使えば名声は幾らでも付いて来るのに、
そんなレベルにとうに達しているのに、そうはしない様です。
欧州の階級社会と同様にそれに染まる音楽家とは別世界の人間の様です。
求道者です、求め探し続けています、その姿に心打たれます。


アンコールはソロでプログラムの一部かと思われる程の時間を割いてくれました。
「バッハ 無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第2番 BWV1004よりフーガ」です。
彼女のCDには収録されていない曲を聴かせてくれました。


サントリーホールの数千人の人間が完全に沈黙します。
前にも書きましたが、みどりの演奏中に咳払いをする様な観客はいません。
もの凄い集中力で演奏し、観衆も負けずと聞き入っています。
本当に一人で演奏しているの?なんという響きが生まれて来るの?
その音色を聞いていて自然に涙が流れて来ます。


演奏が終わって観衆はほっとして脱力しながら拍手します。
カーテンコールがあってやっと気を取り戻して拍手に力がこもります。
飄々とした小柄で細い体は、アジアの修行僧の様、
ウッドウイルのお客さんが言っていましたが、最近の彼女の顔つきは
京都/奈良に行くと見かけると?そう、仏像の様にです。


何時もは殆ど目を閉じて音を拾って聞いているのですが、
今回は目を閉じる隙はありませんでした。
聞く方だって真剣であった様に思います。
尚、この日の演奏は後に番組となって放映されるそうです。





2014年3月11日火曜日

東日本大震災

東日本大震災から3年経ちました。
改めてお亡くなりになった方やご不明の方にご冥福をお祈りします。
被災された皆様へのお見舞い申し上げます。




私は震災の丁度1週間前に怪我の手術を終えて退院したばかりでした。
まだマウスも動かせない状態でした。


経験の無い大きな揺れを長野県の自宅で体験し、ただ事ではないと階下へ急ぎ、
テレビが倒れない様に支えながらNHKの放送を唖然として見ていました。
9.11もそうでしたが余りに規模の大きな事態にはこれは事実なのだろうかと
半信半疑になりながらも事実として受け止めなければと思いました。


脚は問題無く動けても、片腕が使えない状況でもし現地で被災したら、
何かに挟まれたりしたら逃げる事も出来ないのだと、
現地でのハンディーを負った方達の事を考えると恐ろしい思いで見ていました。


何人かの友人はボランティアで手伝いに行き、
取引先では木材で仮設を建てに行っていました。
私は何も出来ませんでした。
個人と所属団体からの支援金を出す事しか出来ませんでした。


オールジャパンでの救助に支援に復興。
心の通った復興が早く行われる事を願います。
地震、津波の直接被害より関連死の方が多い地域が有るのはやり切れません。


原発も何とかせねば!
同期が関連会社の社長をしていますが、
廃炉にするにも膨大な工事があるので仕事は減らないのだそうです。


今、「里山資本主義」と言う本を読んでいますが、
http://www.amazon.co.jp/dp/4041105129/
知恵や先例は豊富にあるようです。
オールジャパンで柔軟に対応出来ないものでしょうか?


小さな工房から考えています。





2014年3月10日月曜日

オーディオ、デザイン、新作、ぼやき?

お馴染みのジャンルを超えた書き込みです。
確定申告でゴチャゴチャの頭の切り替えをしましょう。


ウッドウイルの顧客の大部分は一般の方ですが、
最近は試作だけでなく小ロットでの製造依頼も有ります。
プロの方に認めて下さるのですから有難く光栄な事です。


でも中にはこんな方も!
既存デザインを越えた斬新な物を発表したいと。
新しいアイデアを持ち込むのは大歓迎ですので相談に乗るのですが...
世の中に製品を送り出す訳ですから、
安全で簡単に故障せず、用途にあった機能と価格などは
アイデア以前の問題としてクリアーしなければならないはずなのですが...
そんな事を言うから既存スタイルから抜けられないのだと叱られます。
例: 木目が綺麗で響きも良さそうだから無垢の樹で作りたいと。
   収縮や反り対策の工夫が必要と話しますが、高コストなので不要と!
   相見積もり先は強引に固める対策をすると言っていますと。
   なる程!!そうして割れて歪んだ製品の修理依頼がこちらに来るんだ!


  米国では庭石にスピーカーが組み込まれていて外でも音楽を、
  壁に埋め込まれたスピーカーがリモコンで飛び出してくるシアター、
  自宅プールの中でにも音楽が!自由な発想で楽しんでいる様です。
  そのリモコンで動くスピーカーをメインユニットにしてスピーカーシステムを
  製作してくれと言われた事も。
  音響的な理屈も音質も無視です、リモコンで隠れたユニットが出て来れば良いのだと。


ウッドウイル開業目的の一つは「お客様に喜んでいただく」ですので、
上記の例などは遠慮させて貰います。
もう一度言うのですが「新しいアイデアを持ち込むのは大歓迎です」。
iphoneもAndroidも斬新ですが基本はクリアーしていますよね。
物作りの基本ですね、直接製造に関わらない方達も知らねばならない事です。
日本の物作り、頑張って!
  




ウッドウイルも4月で開業15年目に入ります。
適当な時期に改めて紹介させていただきますが、
今迄に数多く製作発表して来たエンクロージャー構造などは
従来型から更に高機能なタイプへと移行させたいと考えています。
アイデアは当初から有りましたが、それを実現させる技術と経験不足から
実施を躊躇っていました。


例えば、ラウンド型でも背面は平面だったり、
無垢材型でも接着剤を多く使っていたりなどの製造上の問題をクリアーする。
スピーカーエンクロージャの構造を新しく考え直してみるなどです。
これらは勿論、音を良くしたいの一点に集中する為ですが、
技術的にはどれも高度な技が必要になります。
活動15年目、私も60才、残りの時間を高性能な作品製作に注ぎたいと考えます。




もうかなり前からウッドウイルでは「プロ.アマ。養成講座」を募集しています。
何人かのアマ/プロ/セミプロの方達が挑戦されました。
簡易な木工教室ではありませんので、自身の自信を打ち破られた人。
スピーカー製作到達の前に木工製作で躓いた人。
春から新たに挑戦される方が来られます。
当方は手薬練引いてお待ちしています。
成就を心から願っています。


















  

2014年3月8日土曜日

ソチ冬期五輪も終わりました

ウッドウイル開業準備を具体的に始めたのがNAGANO冬季五輪の年でした。


五輪ボランティアを3週間続け、残りの1週間を妻と残った競技の観戦ツアーを行いました。
その春から正社員で働いていた会社を嘱託に強引にして貰って、
月の半分を仕事、半分を開業準備とした訳です。
それも2年間も待たされてやっと実現したのです。


そんな事と、私が北海道育ちで今は長野県住まいと言う事もあり、
冬季五輪の度に(長野/ソルトレーク/トリノ/バンクーバ/ソチ)ホームページや
ブログでは色々書き込みをして来ました(凄いな、五輪が5回も有ったなんて)が、
今回は何となく開催中は何も書き込みをしませんでした。


ソチ五輪TV観戦に備えて我が家のホームシアターは、TVは北京五輪の時に導入した
50インチプラズマのままですが、AVアンプは7.2chで外部パワーアンプ増設で
9.2ch対応型に替え、スピーカーも当然9.2ch対応とする事で、
全て入れ替えました。


私の自慢は完成品スピーカーは自分用には買った事が無い!でしたが、
作る暇が無いので妥協しようとしたら妻に一言、言われて考え直して、
メインは21cmダブルウーファー4Wayの市販品のウーファーをリコーンして修理利用、


サブウーファーはパワーアンプとイコライザーを改造。
センターも市販品を強引に外形寸法を小さくしてラックに押し込む。
フロントHi/リア/サラウンドバックはPA用の市販品を用いて、
音が我慢出来ずに試聴の末に内部チューニングを簡単に行い、
天上から吊す金具は半分自作として何とか体裁と面子を繕って9.2chを実現。
でもソビエト、もとい、ロシアの放送技術者の未熟さとプロ意識の欠如で
9.2chも5.1chも余り差は無かった様でした。


まあ、そんな事より今になってソチ冬季五輪についてブログしているのは、
アスリートに入り込み過ぎて、感動して、自分と比較して....
簡単には書けなかったと言うのが実情でした。


上村愛子の笑顔、高橋大輔の悲運、渡部暁斗のノルディク復活、真央ちゃんの涙、涙
10代若者の活躍、新種目での女性の活躍、相変わらずの役員の出しゃばり....
感動の日々で二度寝の習慣が身についた。


さてパラリンピックはどうなるの?
ロシアは歴史をひきずっており、我が国も目先の領土問題で目が霞む。
米国は存在価値を見定められ、欧州の狸は黙りを決め込む。
思い出すのがボイコットを涙で訴えたレスリング選手、
脳が筋肉で出来ているのだ当時真剣に思ったものでした。


実は今迄書かなかった事なのですが、
長野五輪の時、関係者以外は入れないゲレンデで見た光景です。
アルペン種目のスタートからゴール、リフト乗り場まで、
関係者以外の誰にも邪魔されずにスキーをある程度滑れる者専用に、
巾がスキー板程度のコースが数キロに亘って設置されています。
その中を選手、競技関連者などが猛スピードで通っていて競技が潤滑に成り立っています。


私はそのコースを滑っている時に見てはいけないものを見てしまいました。
ダウンヒル競技のスキー板のワックステストをしていた「昔は選手だったろう人」が、
滑ってゴールして、ストップエリアで止まれなくてフェンスに激突する瞬間を見たのです。
明らかに怪我をしています、責任者は迷惑そうです、テスト走者は必死に無事を訴えて、
仕事の継続を訴えています。


そこで選択されたワックスを使って優勝した選手や国は脚光を浴びて華やか一色。
事実、優勝して強国ぶりを発揮していました。
果たして怪我したテスト走者には何かの恩恵が有ったのだろうか?、治療は出来たのだろうか?
このシーンが未だに頭の隅から離れません。


スポーツとは何か、ビジネスとは何か、華やかな舞台の表と裏、
人の強さと弱さ、人生の悲哀、あのあくまでハイテンションな世界で見た光景の一コマが
今でも忘れられないのです。