2014年12月25日木曜日

同じ雪国でも





















旭川空港出発ロビーにて


今年のイブはお世話になった田舎の伯母の葬儀で過ごした。
小さな頃からの思い出に耽った数日を過ごしました。

数年前、医師から呼び出しを受けて駆けつけた母の病床の時も雪景色、
今回も雪景色一色でした。


見舞いながら息抜きで眺めていた高層建物である病棟からの田舎の景色、
伯母の街へ向かう真っ白な 高速道路の景色。

今住む長野の雪景色との違いに気が付いていました。
雪の質とか量とかでは無くて周りの色合い空気感が違うのです。

ウッドウイル開業前の仕事では北欧等に出張していて、
初めて経験したホームシックの時の風景。
ほの暗く低い太陽に、寂しげに寒々として気持ち迄が凍てついたものでした。
夏の長期休暇を取って南の海へバカンスの気持ちは痛い程に理解しました。

田舎にいた頃には気が付く筈も無し、
他と比べて初めて違いが分かる、
北海道の気候風土は北欧に近いのですね。
同行した叔母も夜が早くて暗いねと。

中国東北部も近いのだが感慨に耽る様な余裕を許さない
厳しい滞在だった。

帰路、北海道の雪の高速道路ドライブで空港へ、
  「北の高速道はホワイトアウト対策か?
   上り下り視認用にガードレールに緑と赤の灯りを区別して点灯」
降りて深夜の首都高を駆け抜けます。
中央道で長野に入り徐々に雪景色へ、

同じ日に体験すると、
今更ながらにその違いに気づかされる。


今書いているモニターの窓の後ろに広がる曇り空の雪景色。
違いを感じながらの暮らしに戻りました。



2014年12月20日土曜日

YAMAHA NS-1000M 専用エンクロージャー製作計画の呼びかけ


















YAMAHA NS-1000M 専用エンクロージャー製作を検討しています。

名機として広く知られており以前から所有されている方、
オークション等で新たに入手される方、又は再度手元に戻して
聞かれている方も多数いらっしゃると思われる希有な機種です。

ウッドウイルで新規にスピーカーを作らせていただいても、
NS-1000Mだけは手元に置いていますと言うお話しは何人もの方から聞いています。

その内のお一人の方はLo-D HS-500の愛好家でも有り、
ウッドウイル版HS-500を作らせていただきました。

搭載ユニットを最大限活かすという主旨で製作しましたが、
オリジナルの音質を大きく越える事が出来た実績を踏まえて、

NS-1000M専用エンクロージャーを製作してはとのお話しをいただきました。

ウッドウイルの製作スタイルはご存じの様に特注の一品製作です。

「どの様に製作しよう?」、「思案を設計」、「実現の手法は?」、
「治具工具の製作と調達」、「少量で高価な資材の調達」、等々....
 その全てのコストが一品の価格に付加されますので高価となる訳です。

NS-1000Mは内容積が80L超の大型です。
良質の材に相応の構造に仕上げ、チューニングも完璧に。
それを足していくと何時もの安くは無い作品になるので
それは是非避けて工夫をとの希望です。

その対策は如何にも簡単です。
コスト削減出来る程度の複数台を同時に製作する事です。
もう一度、重要なのは複数台を同時に製作する事です。

近々、仕様をまとめて発表と言うか募集をしたいと考えています。
一次募集した台数の受注が埋まった時点で 正式受注とさせていただき製作開始。
勿論、一品製作時より格段に安価での価格設定にします。

二次製作は次に安価での価格設定にします。
三次製作(有るかな?)は更に次の安価での価格設定となります。

この様な計画に?
.興味が有る
.条件が揃えば購入も
.具体的な仕様の要求
.その他質問

この様な計画は如何でしょうか?
この掲示板へのレスでも、メール連絡でも、
何か連絡いただければ具体策検討に役立ちます。
何時も寡黙なブログですがレスポンスを是非お待ちしています。



2014年12月14日日曜日

ミュージックバードのコラム

先日、ウッドウイルを来訪された田中伊佐資さん。

ミュージックバードのコラムにその時の事が書き込まれています。
 http://musicbird.jp/audio_column/p66/

MGES(Mechanical Ground Earth of Speaker Unit)についても
感想を書いていただきました。


当工房での滞在後に同じ町に別荘をお持ちで、
週末は自慢の装置でジャズを満喫されていると言う方、
高名な写真家の蓮井幹生さんのお宅にお邪魔して来ました。
http://mhasui.com/title/


ドーム型のカナダ産ログハウスに薪ストーブと広大な敷地、
区画への入り口には獣対策用の柵のドアを開けて車が出入りします。

田中伊佐資さんはこれだけでもうメロメロです(笑い)。

JBLオリンパスの背後には八ヶ岳が裾野から稜線迄、
一望出来る絶景のロケーションです。
正に最高のピクチャーウインドウです。

田中伊佐資さんも書かれていますが、
訪れて最初に聞かせていただいた曲が綾戸智恵のLPによるピアノとの独奏。
背景の山をドラマチックに語る様な曲に完全にノックアウト状態でした。

この景色に曲に音に、美味しい水割りでも飲みながら聞いたら
もう最高の瞬間です。

音楽は心で聴くのですから、音質どうのこうの前に
その舞台を整える事の重要さを思い知った体験でした。


2014年12月10日水曜日

町内忘年会での映画鑑賞、しかしその音は

町内恒例の忘年会が終わりました。

殆どの方は地域コミュニティー建物の大部屋で飲食や会話を楽しんでいます。
小部屋では子供達を集めて映画会を行います。
お母さんはしばし、子供を預けて羽を広げます。
今年は役に就いていて指名で映画担当係となりました。

地域にはノートパソコン(DVDプレーヤー用途)/プロジェクター/
自立式100インチクラススクリーンを備えており、
一式をお借りして映画会を行う事が出来ます。


セッティングしてみるとほぼ80インチ程に写した映像は綺麗!
技術の進化を感じます。

でも音はプロジェクター内蔵の5、6cm口径の音だけ。
他に外部スピーカーは無いのです。
流石に映像と音声のバランスが悪い。
 
皆さん、音は意識の外みたいです。
この地域は言ってみれば「セイコーエプソン」の城下町です。
今日の会にもプロジェクターやプリンターの技術者が居るのですが。

でも音はプロジェクター内蔵の5、6cm口径の音だけ。
聞こえ無くはありませんが、例え町内の子供相手でも....

止む無く商売用は無理ですから、パソコン用モニターとして使っている、
私のベリンガーの10cm2Wayのアクティブスピーカーを持ち込みました。

これでも気休め程度で、プロジェクター内蔵の音よりかはましかと!
これでセッティングを終えて「アナと雪の女王」を視聴していると、
例の技術者を含めて大勢が、おお!、音が凄いとか...

私がスピーカー制作者と言う事を皆さん知っているので、
商売物を持ち込んだと思っているので、誤解を取り消すのに必死。
黙っていても良い訳ですが、良質の音と誤解されるのが辛くて...

いや、今回は全く感じ入りました。
普通の人達の音へのこだわりの無さに。
エプソンの会長は長野でも有名なオーディオファンで、
自身のブランドも立ち上げた程の超が付くマニアでした。
DNAは何処かへ消えたか...

でも親戚の叔母などは出回った頃のハイビジョン放送と一般放送の
違いにも気が付きませんでした。
極狭い世界での仕事であるのは分かってはいます。







2014年12月9日火曜日

制作者の喜び続編







































前回、朝の工房で陽に当たって綺麗に輝いていた製作途中の作品。
同じ作品がユニットの穴加工を終え、塗装も終わって試聴室に入り、
次の工程を待っていました。


今朝、試聴室に入ると四角い窓からの陽を浴びていました。
逆光ですが思わず撮影しました。
未だ何とか木製品としていますが、今日にはスピーカーと言う音響機器に変身します。


 ウッドウイルを初めたころには、一緒に学んだ木工の仲間が多く遊びに来たものです。
家具作りは勿論、機能性を持たせて設計製作されますが、
同じ様に見える木工品で有るスピーカーは、材質、構造、意匠、としての木工品で
有るだけでは無く、音を出す機能を持つと言う事で、彼ら木工家は戸惑うのでした。


家具製作を勉強して製作もして、また使う立場でもある、その市民の感覚では、
美しく出来上がった家具はそれだけで充分に満足出来ます。
多少の使い勝手の悪さもご愛敬です(椅子を除けば)。


でもスピーカーという木工製品はどんなに美しく出来上がろうと、
オーナーさんの音の趣向に合わなければ約立たずと言う烙印を押されてしまいます。


ウッドウイルは木工屋さんのイメージが強いとのお話しを受けますが、
私はラジオ少年から始まったアンプ作りをきっかけにオーディオ好きとなってから、
電気の世界に導かれ、電子工学を専攻して電子機器開発設計などの職歴の後に
独立してオーダーメードで製作するスピーカービルダーとなった訳です。
ですから私としては電子機器に少しは詳しいオーディオスピーカー屋さん!
と思っているんですがね?。


スピーカーは殆どの場合エンクロージャーを必要として、
それを木で製作している訳ですが、それはスピーカー製作全体の工程の8割、9割を
木工という作業に割いています。
この工程に情熱を持たないで作品が出来上がるとは到底考えられません。
それにエンクロージャーは「目は口程に物を言う」の例えで
「エンクロージャーはユニット程に物を言う」とても重要な働きが分かって来ました。


工房名のウッドウィルと言う私が考えた造語。
 「樹を媒体として人と物の心が通じ合えるそんな思いを込めています」
 やっぱり木工屋さんなのですかね??。
近所の人達はピュアオーディオの話をしても理解していただけないので 、
面倒だから木工屋です、と言っています(笑い)。




2014年12月3日水曜日

国産の励磁型(フィールド型)スピーカーユニットメーカー














http://www.royalsangyo.co.jp/field-coil

大変嬉しい報告です。

国産の励磁型(フィールド型)スピーカーユニットメーカーの紹介です。

ごく最近、商品化されたユニットだそうで、恥ずかしながら存在を知りませんでした。

商品構成は130mmフルレンジ/170mmフルレンジ or ウーファー
そして殆ど例の無い60mmコーン型ツイーター。

知らなかったとは言えこの(株)ローヤル産業は金属振動板の製造で大変長い実績が有り、
世界中に供給しているそうです。

私が昔から愛用している国内外の数社のコンプレッションドライバー
(ホーン型の中/高域ユニット)はこの会社の製品で有る事が分かり、
技術力、実績にただ驚くばかりでした。

この会社が部品供給に留まらずにスピーカーユニットという完成品の製造販売を
開始したというのが背景との事です。
開発するからにはハイエンドマニアをターゲットにしたそうです。

これらの説明はユニット開発担当者に私が直接伺ったお話です。


私は再生音を聞いて感動する要素の中で一番重要なのは反応の良さではと体験から学びました。
同社の試聴室で聞いた130mmフルレンジ/170mm+60mmの2Wayのシステムはその大事な
要素を励磁型ユニットを採用した事で見事に実現していました。

癖の無いコーン型振動板は安心してあらゆる音楽ジャンルを楽しめると思います。
金属振動板のスペシャリストが敢えてコーン型ツイーターを開発したのも自身の表れでしょうか、
大変興味深いです。

例えば大迫力の重低音が聞こえたとしても、
ドラムスの歯切れの良い音がしても、
滑らかな高音が流れたとしてでもです。


反応の良さ=音楽の鮮度と言い換えましょうか、
私があしげく通う生演奏の音の世界では反応の悪さと言うものは存在しません。
他の要素も勿論大事ですが鮮度が足りないと感動が在りません。
音を聞いている様でも音楽の中の感動を得ようと言うのがオーディオの楽しみでは?。

ウッドウイルがラウンド曲面構造に拘るのは吸音材使用で鮮度が落ちるのを防ぐ為、
MGES開発もユニット反応を悪化させる振動を減衰させる為です。

そんな環境を生み出すのに適したスピーカーユニットが生まれ、
システム製作時の選択肢が増えるのはこの世界に関わる者にとって大変幸せな事です。

後になりましたが、励磁型(フィールド型)と言うのは電磁誘導で振動板を動かして
音を出すスピーカーの方式の中で磁力を得るのに永久磁石では無くて電磁石 を
使う方式のスピーカーです。

ですから駆動するにはアンプからの出力を接続する以外に、
電磁石を発生させる為の直流電源が必要となります。
永久磁石では磁力が一定ですから変化は望めませんが、
電磁石を使った励磁型は直流を供給する電圧又は電流を変化させる事で
微妙な音色の変化を楽しむ事が出来るのも特徴の一つです。

もう一つ大きな特徴が。
励磁型ユニットを使いたいユーザーは多いのですが、高価過ぎて手が届かない。
ユニットだけで数十万円、中には数百万円という物まで有る世界です。
その様な声を聞いて販売価格を極力抑えたと言っておられました。

ウッドウイルは同社の試聴室のスピーカーシステムを上回る音を狙って熱くなる。
設計に取りかかります。