2014年4月29日火曜日

ウイング-Ⅱ完成

ウッドウイルの代表作 「ウイング-Ⅱ」が完成しました。

初代ウイングとの比較もありますのでご覧下さい。
http://www.lcv.ne.jp/~woodwill/wing-2.html





















画像左がウイング-Ⅱ/右が初代ウイングです。


 初代ウイング完成から8年が過ぎ、試聴室で毎日の様に聴き見た経験から
修正変更しました。ユニットは同じ、エンクロージャーも外観からは大差無い様子ですが
音質は格段に良くなっています。




今回の作品製作や日頃感じているスピーカー作りのコストについて少し。

.スピーカーユニット
 余程の高価な素材(レアメタル程度ならまだまし)を使わない限り量産するので
 案外安く出来ます。ブランド料や研究開発費をふんだんに価格に含ませない限りは。
.エンクロージャー
 合板等の量産性の有る材で、極端に複雑な構造でない限りは
 木工機械の出口からは組立寸前状態で出て来ます。
 後は組立ですが、ラインで出来る作業です。
 塗装は無い物も有るぐらいで、有っても自動か、簡単な塗りで簡易です。
.ネットワーク
 簡易な物と言っても殆どはそうなのですが、量産効果の有る安価な物です。
.設計
 簡易な物は試聴も無く(試聴出来る人がいない?)仕様書出せば彼の国で自動的に完成。
 代表機種などはそうは行きませんが事情が多くて消化不良気味。

そんな世界で注文製作する人と依頼する人が居るのは奇蹟か!
製作に必要な全てのコストが一品の中に含まれてしまいます。
量産品と全く同じ仕様で製作すれば数倍から悪ければ一桁違う価格になってしまいます。
その事実を想像できて許容出来る方は注文製作を依頼して下さいます。
余裕が有っても想像力が欠けると実現は不可能となります。

そんな中でも特にネットワーク製作時には悩まされます。
ウイング-Ⅱにも高価なネットワーク部品を使っているのですが、
コイル1個でウーファーよりも高価、コンデンサー2個でツイーターと同価格。
12dB/octの2Wayでは各2個づつで4個使い、ペアですから合計8個となります 。
クロス周波数が低いと価格は更に急激に上昇します。
3Wayで低中域クロスが500Hzなどと依頼されたら頭を抱えます。
コイルの価格だけでデジタル式チャンデバが買えますので。

ネットワークのチューニングを行った事が有る方ならご理解いただけるかも知れませんが、
クロス周波数や減衰カーブの設定、などは試聴を繰り返しカット&トライを繰り返します。
ユニットの仕様通りに何も考えずに製作する訳には行きません、
顧客の望む音質が何処に有るのか根気良く探し出します。
これには高価な部品を納品する数の数倍もストックしなければ実現できません。
今日良いと思った設定が、明日良いとは限りません、連続試聴は難しく頭をリセットする必要が
ありますので、どんなに早くとも1週間、数ヶ月かかる事も珍しく有りません。
その試聴/チューニングの時間費用はどうしましょう?
部品代だけで明らかに赤字になってしまいます(汗!)。
部品代だけでも高価なのにチューニング費用など含めて請求したら泥棒扱い(笑う)。

 最近は3Wayシステムの見積にはチャンデバを使う事をお勧めしています。
まともな音質を出そうとするとネットワークで簡単に数十万円 しますので、
デジタル式チャンデバとパワーアンプを購入してもおつりが来ます。
そして音質も優れ、室内音響特性迄も補正してくれます。

ウイング-Ⅱクラスのネットワークでもデジタル式チャンデバと中クラスのパワーアンプ
なら同価格で買えますので考え処です。試すとパワーアンプの性格に似も依りますが
デジタル式チャンデバでのマルチアンプ式の方が音質が優れます。


何故そんなに部品代が高いのでしょう?
コイルは分かり易く、製品の殆どが銅の塊で出来ています。インゴットの単価から
計算しても高価である事は理解出来ますが、それでも販売価格は異常です。
コンデンサーは中が見えないので謎だらけです。試聴して音質が良い物を選びますが、
ハイエンド品クラスになると価格対音質は比例してくる傾向は経験から分かります。
それでも10μFで1個22万円もする商品が存在するのは異常を越えて理解不能!



ネットワークのコイルやコンデンサーで何故そんなに音が変わるのか?
乱暴では有りますが単純化するとパワーアンプとユニットの間に好ましく無い部品が介在する。
例えば水道の蛇口に散水ホースを付けて芝に水撒きをする事を想像しましょう。
綺麗に上手い事拡散する散水ノズル(ガーデンファンは拘ります)を先端に付けて
さあ始めましょう!
蛇口とホースの接続では、それらより内径の細い水栓プラグしか無くてそれを接続しました。
蛇口を全開、散水ノズルも全開ですが勢いが有りませんし、水が綺麗に拡散しません。
蛇口(アンプ)に勢いが有っても、 散水ノズル(ユニット)が優れ物でも、
水栓プラグ(ネットワーク部品)でそれらの優れた能力を減衰させてしまいます。
内径以上の物を使う必要は有りませんが、細いと問題が生じます。
水栓プラグなら数百円で済みますが、コイルやコンデンサは高価で信じられない事に
1個10万超なんて物が存在して(買う人が居るのです)いるのでやっかいです。

 
長くなりました。
続きはまた次回に。



2014年4月14日月曜日

至宝 庄司沙矢香 & メナヘム・プレスラー デュオ・リサイタル

庄司沙矢香 & メナヘム・プレスラー デュオ・リサイタル
松本市 ザ.ハーモニーホール 2014/04/13
http://office-mayu.net/events/Shoji-duo.html




過去に聞いたコンサートの中でこれ程に感動した事があったろうか?
そんな体験をして来ました。


ヴァイオリンの庄司沙矢香さんは今回で聞くのが3回目です。
前回は2010年の全曲ベートーヴェン ヴァイオリン.ソナタのツアーでした。
久々で、しかも地元ですので楽しみに出かけて行きました。
ピアノのパートナーであるメナヘム・プレスラーさんの事は殆ど知らずにです。




庄司沙矢香さん


前から3列目のやや中央の席ですのでよく見えます。
大きな花飾りが付いたピンクの華やかなドレスを身にまとって
ステージに現れた彼女は相変わらずキュートで清楚で素敵です。
高齢のパートナーと歩く時、ドレスの裾が邪魔にならない様にと、
また、前後ではなく、横に並んで歩いて万が一に備える?。
その仕草に欧州中心に活躍しているとは言え日本女性の細やかさが美しさを引き立てます。


今回のデュオ・リサイタル、
初めは神様みたいなメナヘム・プレスラーさんにレッスンを依頼したら
録音を聞いた後に是非一緒にプロジェクトをと言う事で
夢みたいなデュオ・リサイタルのツアーになったとの事です。
詳しくは現在発売中の「レコード芸術4月号」に掲載しています。


演奏前半のモーツァルト.ヴァイオリンとピアノのためのソナタ/
シューベルト.ヴァイオリンとピアノのための二重奏曲では、
ヴァイオリンもピアノも力み無く軽やかです。
息がぴったりと言うか、まるで一つの楽器になった様でどちらが主旋律を弾いているの?
と思わせる様です。


未だ聞く方も余裕が有り、何時もの様にホールトーンや残響の大小に、
定位がどうのこうのと頭の隅に考えながら聞いています。
後半に入りますと様子が変わって来ます。


特にブラームス.ヴァイオリンとピアノのためのソナタ第一番ト長調「雨の歌」、
もう聞き入ってしまい、曲の世界に没頭してしまいます。
目を開けるとステージと演奏者が見えてしまい、現実に戻されますので目を開けたくありません。
そうしてプログラムは終了してしまいました。
この曲を納めたCDは絶対に手に入れなければと誓います。
何度かのカーテンコール、大絶賛の拍手の嵐の中、アンコールが始まります。




メナヘム・プレスラーさん


恥ずかしながら演奏は勿論、CDも聞いた事が有りませんでした。
コンサート案内のチラシや当日のプログラムには「音楽界の至宝」とまで表現して
言葉の限りを尽くして大絶賛しているピアノ演奏者です。


やはりオーディオはともかく、音楽については素人ですのでデュオでの演奏中は
その凄さは迄は分かりませんでしたが、実はブラームスの曲にあれ程心酔出来たのは
ピアノの冴えが無ければ実現しない訳ですね。


アンコールではなんと「ショパン.ノクターン 第20番 遺作」を。
「横内の花子」さんからこの曲の演奏はクラウディオ.アウラ 1977年録音が最高と
教えていただき、それを何時も聞いていた為に他の演奏者には満足出来ませんでした。
しかし、メナヘム・プレスラーさんは違います。
この短い悲しい曲の中にこんなに弾ける様なリズムが含まれていたのか!
こんなにも大きな表現の昂揚が有ったのかと驚きです。
何と言う演奏なのでしょう!、聞いていて涙が出て来ます。


デュオでのアンコールは2曲も有って、それはそれは素晴らしいのですが、
観客は大喜びと言うより、完全に酔いしれています。
アンコールは4曲もありました、庄司沙矢香さんが驚いて笑ってあきれています。
今年91才になるのに元気元気、最高に幸せそうなのです。


最後のアンコール曲はソロで「ショパン.マズルカ 作品17-4」聞いた事はあります。
生演奏は初めてです。腕を交差させて演奏が始まり、交差させて終わります。
指は若者みたいに伸びていません、マウスを握る見たいに丸まっています。
力強くなんて鍵盤を押していません、派手な指使いは皆無です。
なのに大音量に緊張感と高揚感、これでクラッシックなのか?と思います。
バラードを弾いている様でもあり、人生を語るソウルみたいでもあります。


私の席からは譜面めくりの方の椅子に座る庄司沙矢香さんのピアノ演奏に食い入る様に
見る顔が、ピアノの鍵盤正面の板に鏡の様にして写って見えます。
メナヘム・プレスラーさんの指と鍵盤と彼女の顔がワンカットの画像に納まる!
写真撮りたいと思わず思いました。
この曲にも何故か涙が出てしまいました、周りの人達も同じ様です。




音楽の素晴らしさ、感動はこんなに深くて大きいのだ!
小さな地元のホールでこんな感動を味わえるのは何と幸せなんだろう。
こんな体験をしたくて懲りずに聴きに行くのです。
数年に一度出会うかどうかの素晴らしい体験をしたい為に。





































2014年4月12日土曜日

一日の温度差20℃でも春が来た


夜間-5℃で昼間15℃の春が来ました。

東京の夏の昼間35℃でも夜間15℃は無い

東京の冬の昼間10℃でも夜間-10℃は無い

誰かに、この季節に東京に行って気温差を言うと、まるで海外から 来たみたい!と言われた。
 















工房前、2月中旬の大雪でした。













その最後の雪が今日4/12で消えました。

















近所の農家の庭、例年より1~2週間遅れの福寿草が満開
















町内の水芭蕉、早いのと遅いの、丁度良い咲き加減のはいなかった。
数株が奇跡的に生き残っています。



 







2014年4月1日火曜日

ウッドウイル開設15年目に入りました

あっという間に14年間が過ぎました。


多種多様なスピーカーを製作させていただきました。


今は更に音質を追求した作品、ウッドウイルらしいオリジナルを作りたいと考える様になっています。




製作経験からか、少しは他の製品も理解する事が出来る様になったからかも知れません。


音楽会では本当に感動する事が多いのでその体験を少しでも再現出来ればと言うのも有ります。


手間暇をかけますので納期は長くなり安く製作する事は出来ないかも知れませんが、


そんなスピーカービルダー(製作工房)が有っても良いのかな?と考えています。




長く続けていると惰性で進む事も有るかも知れませんので要注意です。


新作への取り組みもそうなのですが、製作技術の陳腐化という物にも気づかされます。




スピーカーエンクロージャーの機能の整理/問題点/改善点などを研究していますので


少しずつ発表していきたいと思います。




機能を整理すると面白いアイデアが生まれる!


そんな事も体験しながら進めています。


皆様に喜んでいただける物や情報を提供出来れば嬉しいと考えます!




今後もよろしくお願い致します。