2013年6月29日土曜日

The monster is gone 


80cm口径 FW800HSを搭載したサブウーファーが
本日、工房を去りました。

納品先の準備が整うまでしばらく工房で待機していました。
画像の様に搬出は大騒ぎです。

でも恐らくは搬入は数倍も大変な事になるだろうと聞いています。
キーワードは何が何でも運び入れろ!だそうです。
工事用のクレーンが登場するとか。

1枚目の画像の左奥に少し見える階段の横に塗装室が有るのですが、
当初はそこへ二人で移動するつもりでしたが、
あまりに危険そうなので工房の中に臨時の塗装ブースを作成して
移動は中止としましたが、今日のこの様子を見ていて
本当に止めておいて良かったと思いました。

専門家5人がかりでの仕事です。
素人の出来る仕事では有りませんでした。


工房内床から地面までは段差があるので通路を作っています。
道具類だけで2トントラックが要りそうです。


トラックのリフトまでつながる通路が完成しました。
モンスターはぐるぐる巻きにされました。
勿論、ユニット面は合板で防護しています。
専門家五人がかりで移動です。

このトラックの荷台に固定されたまま搬入先まで移動するそうです。
この作品も文字通り身を削って作り上げた作品でした。
行ってしまいました。
ご主人様に可愛がられる事を祈っています。


 


2013年6月22日土曜日

フェイスブックのオフ会

帰省中に何故かフェイスブックのオフ会に参加しました。
身内に誘われたのですが、
音楽仲間と飲み会を開催するとの情報を元に
そのフェイスブック仲間が大勢集まってオフ会となった様です。
居酒屋貸し切りの殆どの人が初顔合わせという飲み会でした。



私はフェイスブックに加入していませんので不思議体験でした。
セミプロらしいミュージシャンには若い娘が取り巻き、
遠巻きに年齢の近い方、何人かと話をしましたが結構面白かった。



高校の同級生と同じ町の出身の方は地方興しのNPOのメンバーで
北オホーツク100kmマラソンを主宰しているとか。
http://www.north100.jp/outline.html
ランナーは情報収集の為に横のつながりが強くて最北の地の
100Kmマラソン大会ながら500人超の参加者で賑わい
地域興しに役立っているそうです。




歯科医の方とのお話しでは。
私が高校の時には既にオーディオマニアとして自負しておりましたので、
地元一番のオーディオ店の店長は良く知っておりその方からの
情報から地元のその手の情報を少しは知っていました。

この町のある開業医はコンクリートホーンを組み込んだ自社ビル
1階全部をリスニングルームにしていて、
オールホーン型スピーカーにアンプはラックスの特注です。
普段はLPやSPを静かに聞いている。

但し、ウイーンフィルがやって来ると病院は閉めて聞きに出かけてしまいます。
返って来るとしばらくは自宅では聞く気にならない。
と言う様な超弩級のオーディオ/音楽ファンがいる事を知り、
世の中には、オーディオマニアの中には、
そんな方がいるのかと驚いていたものでした。

それでその歯科医にその事を話しましたら、
知っていてその方は既に亡くなられてご子息が
仕事も趣味も引き継がれているとの話を聞きました。
明日時間があったらお会いしよう!
でも叶いませんでしたので次の機会にとなりました。



さらに別の方は。
髙梨沙羅(たかなし さら)と言うノルデイックスキーの女子ジャンプ選手を
ご存じでしょうか?
16歳の小柄で幼顔の選手ですが昨シーズンはワールドカップの
総合優勝を飾ったとびっきり優秀な選手です。
その選手のスキークラブの大先輩という方が同席していた訳です。
とても小さな町ですが、ジャンプ台を整備して数少ない人口の中から
選手を見出して育てている志の高い町の話を聞く事が出来ました。



嬉しい方がいました。
アマチュアでトランペットやサキソフォンを演奏している方です。
ブラスを演奏する機会や聞く機会は多くは無いですね。
昨年の秋葉原でのフルブラスバンドの演奏と生録の話をしましたら、
CDで聞くブラスはつまらない、生演奏が素晴らしいと話が盛り上がりました。

それに何とウッドウイルを知っていました。
父親から当時の名機をそっくり引き継いで聞いているそうです。
いつか特注したいなと言っていただけました!。




静かに帰省しているつもりがひょんな事からこんな楽しい話が出来ました。
美味しいお酒に、地元の料理、
参加者が持参した取れたてのホタテの刺身!
フェイスブック参加を検討しているのですがどうしよう?



前述のセミプロらしいミュージシャンが2曲程ギターを弾きながら
歌ってくれましたが、携帯で撮った動画は保存されていなかった。
聞き惚れる演奏でした。


2013年6月19日水曜日

続 振動型バッフル スピーカーの計画

振動型バッフルスピーカーを製作中です。

ウッドウイルでは100%無垢の樹でスピーカーエンクロージャーを多数製作して
いますが、その製作上の課題は気温や湿度で収縮する樹を使う事による、
密閉度の確保をしながら収縮に対応させる事です。
がんじがらめに固めて製作している方もいるようですがそれでは数シーズンで
構造的に破綻します。

その点は振動型バッフルスピーカーのエンクロージャー部分はバーチ合板なので
安心、心配要りません。バッフルには無垢の樹を使いますが、単独で開放されて
いるので多少の反りや収縮は許容出来ますので自由に動いてもらいます。

そんな事で無垢のエンクロージャーは目に見えない所での戦いが有りますが、
振動型バッフルスピーカーではよく見える所で無垢の樹を使った細工が出来るので
製作していて楽しいのです。そんな事でここに書き込ませていただきました。


振動型バッフルスピーカーの心臓部となるバッフルには山桜無垢材を採用します。
この作品はウッドウイルらしく音質の良さに加えて外観もこだわります。
弦楽器が綺麗に鳴り響く事でしょう。

同じくバッフルにオーク材(楢)を採用します。
この作品は敢えて外観や塗装を最低限にして低価格化を図ります。
これは製作中ですから、完成すればもう少しは綺麗になります。
優しいゆったりした響きに癒される事でしょう。
 
山桜無垢材のバッフルとエンクロージャーを起てる(吊す)為のスタンドです。
未だ製作中、未仕上げなので誤解無く。
コスト高になるので市販品で代用とイーゼル、家具、鏡、自転車展示台等々...
使えそうな物が無いので製作する事しました。
予定ではスタンドまで無垢材にするつもりは無かったのですが止むを得ないですね。
贅沢な樹を使う事で音質的には更に素晴らしくなるのも予定外。


同じくオークのバッフルとエンクロージャーを起てる(吊す)為のスタンドです。
思い切り簡単な面取り仕上げです。

スタンドの土台と脚の接合部です。
ほぞ組で逆方向からくさびを打ち込んで強固に接着します。
長期間にわたりがたついたりしない為の加工ですが、
木工的にはこんなのが面白いのです。

 
上の写真のくさびの飛び出した部分をカットした様子。
塗装してしまえば気が付きにくいですが、
分かる人が見れば一目瞭然で、市販品の良質な家具などに見られます。


2013年6月12日水曜日

FOSTEX FW800HS 80cm口径 サブウーファー






















世界最大の80cm口径を誇るウーファーユニット FOSTEX FW800HS を
搭載したサブウーファーが完成しました。
詳細はウッドウイルのHPをご覧下さい。
http://www.lcv.ne.jp/~woodwill/Speaker-ord.htm
因みに画像の右下は20cmフルレンジユニットです。

ウッドウイルが製作した過去最大の作品となりました。
W1580/H1340/D550mm 重量約300Kgはスピーカーのサイズを超えています。
過去に比べて特別に大きいと言う事は製作する時にどの様な違いが生じるのかを
その場面々で嫌という程に思い知らされたのも貴重な経験でした。

堅く、重く、大きく、身の危険を感じる程のこの作品の製作には制作者に大きな
負担となり体を痛めてしまうなどで、多くのお客様の作品が遅れてしまう原因とも
なるなど、公私共に忘れがたい作品となりました。
現在は以降の作品製作に励んでいます。

友人は訪れる度に大きく複雑になるこの作品を見て付けた名前が「モンスター」。
搬出には工房出口の構造物を取り外し、搬入には壁に穴をあけてクレーンを
使うそうですので話題に欠きません。

かなり前からこのFW800は存在していて、裸で聞いても低音が出るとか、
巨大過ぎてエンクロージャーに納められずに、押し入れや空き部屋を使うなどの
苦労話を聞いていました。いざ始動し始めると家の取付が悪いと大振動で
倒壊しそうです。あらゆる物がガタガタと震え出します。
信じられないのですがサインスイープ信号によるF特測定時に、
ある低域の信号で私自身の胃の中が共振して鳴り出して耳で聞こえます。
いや、骨振動かな?、まさかと思い三度、四度と繰り返しても鳴ります。
部屋の中の大気がブルブル揺れています。

FW800をサブウーファーに用いると言う事はメインのスピーカーシステムの
グレードも知れようと言う物です。
詳しくは述べられませんがオーディオのレベルを越える様な機材を用い、
扱う方には想像を超える知識と経験と共に音楽への熱い思いが有ります。
それをもってしてこの作品の製作を依頼されたのであろうと考えます。
この様な特別な作品を作る機会を与えて下さり大変感謝しています。

あまりに大きいのでウッドウイルの試聴室には入りませんので
製作した工房で試聴とエージングを行いました。
その時の様子は。

.通常、スピーカーはユニット振動板面積より大きな楽器の音を出そうと
 面積が足りない分をストロークで稼いで必要な音量を絞り出しています。
 そんな頑張っている様子が効いていて判別出来るのです。
 FW800はそこが根本的に違います、殆どの楽器や音源は80cm口径より
 小さいのです。その余裕とゆとりの有る音には圧倒されてしまいます。

.演奏会では大太鼓やコントラバスは音の奔流となりステージから客席に
 流れ込んで来る様に聞こえます。
 大変心地良く酔いしれますが、音源から発する細部の表情は聞き取る事は
 出来ないと私には感じていました。

 録音手法も有るでしょうが、FW800での再生音では皮の張りや胴の鳴り、
 弦の振動に胴の響き、それらが確認出来ます。これは未体験の驚きでした。
 オーケストラの演奏会でそれら低音楽器の分解能の良い音が聞けたら
 更に深い感銘を受ける事だろうと思います。

.FM放送を流しながらのエージングでは、各局のスタジオの空調ノイズが
 体で聞こえてしまいます。私の46cm2台のサブウーファーでは
 気が付きませんでした。これも初体験、超低音をローカット無しで
 流しているのですね。

.工房設置のBGM用の10cm2Wayを4台+20cmサブウーファーのシステムに
 加えて鳴らしてみました。10cm2Wayの音がノートパソコンの音の様に
 シャカシャカ音に聞こえてしまったのには笑ってしまいました。

オーディオは品質(音質)と規模が比例すると言う場面を幾度か見て来ました。
フナ釣りに始まってフナ釣りに終わるとは言いますが、トローリングしながらの
カジキマグロ釣りのスケール感とは違うもっと深い所でのオーディオの
規模が比例すると言う事象が有る様に思うのですが、皆さんは如何?。


2013年6月6日木曜日

新作 振動型バッフル スピーカーの計画

ある日、工房でウオールナットの板材を持ち運んでいた時の事、
その板材が耳元でブオーンと言う心地良く低い音色で響きました。

今の音は何だろう!
小さな板材からこんなに豊かな響きが?
もう一度その音を聞きたいと思い挑戦、
しかし、出ない!何故?おかしい?、
悔しいのでその再現の為に調査が始まるのでした(大げさ)。

何らかの振動が加わりそれが上手く共振したのであろう事ぐらいは想像出来ます。
それを先程の材料で再現するには少しばかり工夫が要るようなのです。
複雑ですがそれらは全て物理の法則から導き出す事が後から理解出来ました。

調べてみると楽器で言う所の「音板」と「共振」それに「支点」が関連していそうです。
先程の心地良い音は、偶然にもそれらの各要素を満たした結果だったのです。
板の持ち方と持つ位置、板に対しての耳の位置、
そしてまさにベストポイントに膝っ小僧がコツンと当たったのです。
条件が揃った時、想像以上に心地良く大きな音で響くのです。
まさに全ての楽器がそうである様に。

この心地良い響きの現象をスピーカーに応用すればきっと素晴らし音が出る!
膝っ小僧が当たった単純なタップトーンの単音では無くて、
スピーカーの振動という可聴帯域で響く素晴らしい音源があるのです。
それに板の基本波振動に加えて偶数時、奇数時の振動も加わって
それこそ楽器の様に響いてくれる事でしょう。

直ぐに試作に取りかかりました。
充分に乾燥した響きの良い無垢材達が揃っています。
どの樹種に参加して貰おうか!
音源のスピーカーユニットの選択は?
楽しい悩みが湧いて来ます。








その響きの基本的な動作が上図です。
節から節までの長さで共振する基本波振動に
その間を偶数時、奇数時で分割された振動も同時に生じます。
その積み重なりが豊かな心地良い響きを生みます。
共振する材の厚さ/長さ/巾/面積/質量/等と
それらの要素が絶妙の配分の時だけに上手く働くのです。
エンクロージャーの寸法が多少変わっても音質が大きく変わる事は希ですが、
この方式はデジタルの様に当たると1、外れると冷酷にも 0になってしまいます。














上図はそのバッフルの振動(響き)とスピーカーエンクロージャーを組み合わせた
作品全体のイメージです。
ラフ過ぎて赤面ですが、思いついたイメージを描き止めるのはこんな具合です。
従来のスピーカーと大きく異なるのはその設置方法です。
スタンド又は吊すなどしてバッフルを自由振動させます。

エンクロージャーはスピーカーユニットを駆動する基本通りに用います。
特別な工夫をして振動型バッフルの裏面に取り付けます。
スピーカーユニットは振動型バッフルの表面に取り付けます。

構造から点音源が好都合でフルレンジか同軸型ユニットで。
小容量のエンクロージャーに適したユニットを選択。
試作機での聴感からはバランスの取れた音色とする為には10cm口径以上の
ユニットがお勧めです。

点音源のフルレンジ、同軸を使っても出て来る音は面音源となります。
小さな口径のユニットではストロークを大きくして音量を出しますので、
どうしても無理な音になります。これは比較しないと分からないかも知れませんね。
この振動型バッフルで聞きますと音源の面積が増える為に能率が上がります。
同じ音量でも自然に聞こえうるさく感じません。
使用するユニットの二回りは大きなスケールで音楽が聞こえます。

響きの良い樹を使うので弦やアコースティック楽器は活き活きと艶やかに鳴ります。
心配した打楽器などでの応答性は全く問題が無く、歯切れ良く気持ち良く聞こえる
のは嬉しい誤算です。低音部の強い楽器でもやはり重なり合う様な高周波成分が
含まれると綺麗に聞こえると再認識しました。

但しモニター的に厳格に位相や定位を気にされる方には不向きと思います。
現実のコンサートではあり得ない様な定位も録音で中央にピタッと定位して聞こえ、
それが心地良く感じる楽曲も多くあります。

この新作は近日中に発表します。
ウッドウイルらしく装飾や塗装仕上げにも拘った作品。
最低限の仕上げで済ませて格安に提供出来る作品。
今迄使った事の無い普及機から高級機迄の新ユニットの採用。
メインスピーカーとしても充分に使えます。
サブ機として、又は寝室やリビングでのイージーリスニングには快適で心地良い。
官能的音楽鑑賞に適していると言えましょう。



耳の健康診断

鼻づまりで耳鼻咽喉科に行ったのでついでに耳の検査を受けました。

一般の健康診断での聴力検査はヘッドフォンを装着した気導聴力検査と
言う物で1KHzと4KHzでの聞こえ方を調べるそうです。

病院での検査は「標準純音聴力」と呼ばれる気導聴力検査と骨導聴力検査を行い、
125Hz~8KHz迄の聞こえ方を調べます。
骨導聴力検査はノイズの中から気導聴力検査と同じ音を聞き分けて検査をします。
骨導とは骨振動型のヘッドフォンが有りますが、鼓膜では無くて耳の後ろの骨に近い皮膚に振動体を当てて調べます。

全ての帯域の音が聞こえても大きな音なら聞こえ易いので、
問題はどれ位小さな音でそれらが聞こえるかを調べるのが大事だそうです。
その意味で試聴室にある測定器では調べ切れないと言う事が分かりました。

結果の聴力レベルは0dBを基準として10dBでほぼフラットに聞こえて、
高域は年相応の減衰傾向が見られるとの事でした。
30~40dB有ると日常生活に支障は無いと言う事です。
因みに10dBの差とは約3.2倍となり、20dBとは約10倍、
30dBとは32倍、40dBは100倍に換算されます。

加齢により誰でも聴力は衰えるので、何か耳に良いメンテナンス方法は?と
聞いてみましたが、明らかな病気以外で聴力を回復、又は維持する方法は
現在は無いそうです。動物実験レベルである種のサプリメントが効果が
有る事は分かったそうですが、市販品の数十倍の成分が必要なのだそうで、
未だ未だ実用段階には来ていない様です。

音楽好きとしては聴力は気になる所です。
偉大なる(熟練の)指揮者達はオーケストラの一人一人の音を聞き分けると
言いますので、極端な聴力低下以外は、聞こえる音の中身を聞き分ける能力
が重要と言う事が理解出来ます。熟練の演奏者も同じですね。
更には熟練の楽器制作者も同じであろうと思います。

前にも書いたと思いますが、私は20Hz~20KHz迄聞こえるのだと信じている
業界の人がいて、聴力検査受診を強く否定していました。
それは人の限界値で誰でもが100mを10秒切って走れないのと同じなのですが、
知って不安になるか、知らないで幸せになるかは個人次第と言う事ですね。