2011年1月4日火曜日

サイトウキネン

1992年から始まった長野県松本市を舞台に行われるクラッシックの音楽祭は、
指揮者の小澤征爾さんが総監督する”サイトウキネン”と呼ばれます。


私の所から松本迄は高速を飛ばすと1時間弱で行かれますが、
何故か今迄この音楽祭に出かけた事がありませんでした。
可能な限りの小規模の室内楽中心の演奏会を聞こうとしていた為でもあります。


昨年は小澤征爾氏が体調を崩して1曲しか指揮を出来なかったと言う
音楽ファンには大変残念な年でもありました。


今日のNHK総合で、その1曲の演奏と練習風景を放送していました。
曲はチャイコフスキー:弦楽セレナード 第1楽章
小澤征爾氏にとっては馴染みの曲ですが昨年ばかりは体力の関係で
その7分間の曲の指揮しかできなかったのです。


自身の心内では充分に時間を取る事が出来ていた。
この音楽祭から復帰を果たそうと決めていた。
療養中の音楽から離れていた情熱の高まり。
その気持ちをぶつけてリハーサルを行い、
気心知れた楽員達はそれに情熱を込めてそれに答えてくれている。


TVニュースでその曲の出だしを流していたのちらっと聞いて
これは凄いぞ!と思い、今日の放映を待っていました。
その演奏はすばらしいものでした、感動して熱くなってしまいました。
もう一度、素晴らしかったです。


録音も素晴らしく、各パートの一音一音が聞き取れていながらも
素晴らしいハーモニーが感じられました。
演奏が良ければ装置に無関係に音楽に感動出来るとは言いますが、
有るレベル以上のピュアオーディオで組まれたシアターシステムで
聞きますとリハーサル中に何度も弾き直すコントラバスの重低音の表現の違いも
聞き分ける事などが出来ますのでやはり感動の大きさは違うと思いました。


サイトウキネンの楽団員は全てが一流の人とは限りませんので、
うがった見方でいた事は正直有りました。
逆に一流のオケでも力の入らない演奏会ではつまらない思いをして
帰ってくる事も珍しくありません。
でもこのTVを見た方なら楽団員の生き生きとしたリハーサルの姿や
感情のこもった演奏に心を動かされた事と想像します。
感動が感動を生むのですね。
小澤征爾氏の入魂の指揮だった証であります。


音楽を専攻していない私などは指揮者と言う職業をよく分かりませんが、
小澤征爾氏の若き日を記した”ボクの音楽武者修行 (新潮文庫) ”を
読むと指揮者がどれ程の才能に恵まれながらも勉学と努力と己の道を開き進む苦労を重ねているかが垣間見えますので楽しみながら読み進む事が出来ます。
世界の人からマエストロとして尊敬を集める職業で有る事の理由が少し分かります。



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