2018年8月20日月曜日

日立 LO-D HS-500 の修復について

名機として知られる「日立 LO-D HS-500」。
当工房では日立 LO-D HS-500 の修復について多くの問い合わせと、
実際に修復(作り直しですが)を何件も行っています。

つい最近も問い合わせがありました。
エンクロージャーは問題無いが、
ネットワーク部品やスイッチはどうかな?
ユニットの状態も確認出来れば

こんな問い合わせでした。
先ずはこんな回答を
.ネットワーク部品やスイッチは作り直す or 使わない方式にする
.ユニットは使える事が多いので動作確認をさせて貰いますと
.エンクロージャーは外観の良い物も有りますが、
 それは見た目が良いのであって、全く使えませんと

他はともかく、エンクロージャーは大丈夫なので受け入れられないと。
一度、裏板を外して確認してみては?と提案するも受け入れて貰えません。
こちらに持ち込んでいただき、一緒に確認すれば明らかなのですが...。

日立によると「硬質ホモゲンホルツ」と言う材料だそうですが、
パーチクルボードを接着剤で強固に固めた材料に近い物の様です。
問題は接着剤成分に有機物を含んでいる事です。
45年程経過して接着剤成分はバクテリアに食べられてしまっています。
つなぎ合わせる成分が無いので板材の中は個々の木片をつなぐ物が無い状態です。
下記の写真はまだ良い方なのですが、ペンチで挟むと菓子のウェハースの様に
ボロボロと崩れてしまい、状態が悪いのは手で掴むと崩れます。

木材片は多湿高温状態で腐敗が無ければ問題無いので、残念な事です。

エンクロージャーの機能は
 .ユニットを保持する
 .ユニット(ウーファー)を動作させる空気室を得る
なのですが、これは理想状態で、実際には
 .ユニットは激しく振動しているので強固に受け止める必要が有る
 .空気室は振動板運動により膨張収縮を繰り返すので、
  その動きにより生じる振動を構造体としても板材としても止める必要が有る。
ボロボロの板材でこれらの機能が発揮出来ない事は明らかです。
ユニット振動板の音に膨大なエンクロージャーの振動音が付加されて音が出ます。

アンプなどでは歪みが1/100~1/1000で、
基本波に対しての奇数時や偶数時歪みなどは測定器で確認出来ても
聴感上で確認出来るレベルではとうの昔から消えて無くなっているレベルに近いです。
機種名のLO-Dとは低歪みの意で日立は昔から理解していますね。
電気信号を機械信号に変換する系のスピーカーは優れた物で数パーセント未だ有ります。


劣化したエンクロージャーの膨大な振動音が付加された再生音は
ユニット本来の音の性質などは隠してしまいます。
ネットワーク部品などを変えてみても音の変化は判断出来ないレベルです。
それを理解されているお客様は、修復(作り直しですが)されて、
完成後の音を聞いて改めてHS-500の音、
と言うよりは使用されているユニットの低音L-200/高音H-70HDの
優れた音色に驚嘆するのでした。

以上、HS-500について検討されている方の参考になれば幸いです。











ボロボロになった裏板
 




  









新しく製作したエンクロージャー
ネットワークは使わずにマルチアンプで駆動します。
http://www.lcv.ne.jp/~woodwill/HS-500-2gouki-MGES.html




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