今日はヴァイオリンのソリストで竹澤恭子さんを初めて聞いてきました。
例によって一番前で聞きました。ホールトーンに負けない楽器その物の音を聞き分ける為です。
彼女の正確な年齢は知りませんが小娘で無い事は間違い有りません。
演奏も落ち着いていて抑制の効いた聞いていて安心感の有るスタイルで好感を持てました。
曲目はブラームスのヴァイオリンソナタ1番から3番までの全曲です。
メロディーラインの綺麗な曲とは違い、かなりマニアック好みのする曲でしたので
好き嫌いの分かれる曲と思いました。
彼女のデビュー20周年の集大成となる作品として選曲したそうです。
さて、曲や演奏技法などはこの辺にして目的の主である音色(音質)の方はどうであったか。
楽器は1710年製ストラディヴァリの”カンポセリーチェ”です。
音量は流石に十分あり、音のフォーカス点は席順で10番目くらいか?と想像しました。
1番目の席では音が通り過ぎて行く印象です。
音像が実物大のヴァイオリンよりも遙かに大きく聞こえるのは十数台聞いたストラディヴァリの中では
初めての経験。一番良く聞いている五嶋みどりのガルネリは距離に関わらず等身大の音像の中から
あらゆる響きが飛び出して来ますのでかなり違和感が有りました。
このまま録音したら再生装置側でどんなに苦心してもピンポイントの等身大音像なんか再現できっこありません。
また、大きな音像の中からあらゆる響きがバラバラに出てくる印象も持ちました。
数ヶ月前に同じホール、同じ席で五嶋みどりを聞いていますから間違いない差だと思います。
これの優劣は私には分かりませんが他の多くの楽器と違うと言う事は理解できました。
この差は演奏技法の差では無くて楽器の個性と思うのですが...
生で聞いて楽器の差でこんなにも違うのだからCD等だけ聞いて音質の判断をしようと考えるのは
かなり危険な事だと改めて思いました。
こんな時にはやはり悩んだとしても生演奏を聴いてみて良かったと思います。
但しこれは職業的にスピーカーを製作している立場から誤った判断でチューニングしないようにとの話であり、
一般ユーザーが好に従って聞かれるのは全く問題無い訳でありまして、
それが私的オーディオ再生/音楽鑑賞の楽しみであります。
ただもう一言...お客様の話を聞きますと生演奏を一度も聞いた事が無い方も多く居られるので、
ケーブル1本アクセサリーを買ったつもりでコンサートに脚を運んで見るのも良いのではと思ったりもします。
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