現在製作進行中のバーチ合板積層ラウンド方式エンクロージャーの製作過程の報告の第2回目です。
効果的な製作工程上の都合から一度に5種類の大きさ(ユニット口径と内容積)を同時進行しますので
中々思う様には作業が進みません。量的な問題と制作者に肉体的に大きな負担がかかるからです。
物作りの経験がない方は軽く流して読まれる事でしょう。少しでも自作をされた事が有る方は興味津々、同業の方は全体を把握する事は出来ますが、ほんの一部の細部の工夫や加工がどうなっているかという興味を持たれる事でしょう、多分?。
設計製作の大元となる治具(型板)に空けた穴位置を数十枚もの積層する各板に
写し取る作業をしています。特殊に加工したドリル先を逆回転させて位置を写して
行きますが、1枚の板に穴が約60個で板が約70枚、合計4000個以上の穴を写します。
画像の電動ドリルに垂直維持する工具を含めると約3Kg有ります。
位置を合わせてドリルを打ち込んでまた持ち上げてを4000回以上繰り返すので
途中で腕がギブアップ!以前メーカー勤めで工場のラインで見たバランサーという
機械を思い出して導入して装着した様子を写したのがこの画像です。
重さをゼロにしてくれる優れ物で上下させるのはほんの少しの力で足ります。
個人工房の一品製作でこんな装置を取り付ける事になろうとは思いませんでした。
写真はラジアルボール盤と言われる木工機械で、これで位置決め用の4000個以上の
穴をあけます。ラジアルボール盤はドリルの刃の付いたヘッド部分と加工品を載せる台が
回転しますので複雑な斜め方向の穴開けが可能です。更にヘッド部分が手前から奥方向
にスライドしますので懐が深くて広い板の中央にも穴を開ける事が出来ます。
このボール盤でユニット穴も開ける事が多いので大口径の穴でも開けられる様に単相200Vの仕様を
3相200Vで減速ギアー内蔵の高トルク仕様へとパワーアップ改造しています。
穴開けを延々と何日間も続けます。
バーチ合板積層ラウンドエンクロージャー(1)で説明した型板を各個別に
荒木取りした状態です。この状態から外形/内径線に沿って滑らかな曲線に仕上げて
行きます。作品はこの型板のコピーとして生まれますのでこの型板の加工精度で
全てが決まると言っても過言では無いかも知れません。
その型板を綺麗に仕上げて穴開け済みの板に専用ピンを差した様子です。
この状態で型板の外側(内側も)に輪郭の線を書き込み、その線に沿って荒木取りして
個別の形状に切り出し、再度この画像の状態にし、ルーターで型板に沿って綺麗に
削って仕上げて行きます。そう!今迄の全ての作業はこの画像の状態に持って来る為だったのです。
次回の報告では型板と同様の形に切り出された板材(これがエンクロージャーのボディーになります)の
様子を報告出来ると思います。
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