2011年10月29日土曜日

バーチ合板積層ラウンドエンクロージャー(1)

たまには作品作りの初めの頃の様子を伝えてみよう。

いつもは完成してからのHPへの掲載だから。


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画像の板材はロシアンバーチ合板を決められたサイズにカットして積み上げている様子。

この板材からは歩留まりが良ければ8cm口径から20cm用のエンクロージャーの5機種分の

材料が採れるかも知れない、それは注文の仕様次第だ。


この材料で製作出来る最大の大きさは20cm口径用のエンクロージャーだが、

内容積は約80Lで30mm厚の板を30数段重ねて製作します。

重さは205Kgもあった(くり抜くから作品はそんなに重くはなりません)。

載せている30mm厚MDFの台車は重さで湾曲している、MDFは腰が無いのだ。

1枚1枚加工する訳だからトータルで205Kgを何回移動するのか自分でも分からない。

たったそれだけの事でも実は重労働なのだと言う事を最近気が付くのだからあきれる。


 


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次の写真はラウンド形状のドーナツ型(馬蹄型)に切り抜く為の治具を製作開始している

様子である。丸穴は板材を重ねる時の位置決めに利用され、組立時にはダボ(木製栓)

を通してやはり位置決めと接着強度を高める役を担います。


素人でも分かる通り、穴位置がずれれば積み重ねた板材もずれて積み重なります。

単純な穴開けが精度が生命線となる訳です。


ラウンド形状にもノウハウが詰め込まれています。

一般的な直方体のエンクロージャーは平行面が3箇所有り、各々の距離に応じて定在波を

発生させます。設計のポイントは黄金比を導き出してその定在波が可能な限り干渉しない

様な寸法を算出しますが、ラウンド方式は天地は別として他は定在波を極力減衰させる

様な複雑な曲面を構成します。この形状を考え出せればラウンドエンクロージャーの

主な設計は終わった様なものです。


天地もオプションとして内部非対称構造が可能であり、上手く行けば吸音材が全く不要に

なりますが、定在波減衰の目的では無くて音を整える目的で少量(葉書数枚程度)使う

程度で済みます。因みにウイングでは葉書大の吸音材をネットワークを覆う程度

充填しているだけです。


あとはその設計図面を具体的な形に作り上げる製作技術が要求されます。

穴あけ作業もそうですが全く同じにラウンド形状の板材を数十枚も切り抜くのは高度な

技が必要?と思われるかも知れませんがこれが案外に簡単なのです。

切り抜く為の使い勝手やその他の工夫を盛り込んだ治具の精度で全て決まります。


木材には年輪が有り、冬目と夏目では堅さが違います。その境目辺りに穴を空けようと

しますとドリルの刃は柔らかい方へ流れていきます。そのごく当たり前の現象を防ぎながら

正確で同じ位置に穴開けをするのはこの作品の製作工程で一番難しいかもしれません。

金属や樹脂ならこんな苦労は無いでしょう。

実はウイングやJBL38cm3Wayなどの材料は無垢材ですので、

今、扱っている合板などに比べ更に数倍は加工が難しいのです。


組立完成して完璧に積み重ねが滑らかに揃うと言う事はありません。

加工精度の点と、合板とは言え相手は生きている木材ですので収縮等が有るからです。


若干の時間は必要ですが、その段差(目違い)は鉋や電動サンダーで滑らかに仕上げる事は、


熟練した者には容易に対処出来ます。


その辺の画像も今後出来るだけ掲載してみたいと思います。

では今回はこのへんでおしまいです。



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