2012年6月16日土曜日

前橋 汀子 ヴァイオリン.リサイタル

前橋汀子チラシ


地元岡谷市のカノラホールにて前橋汀子さんのリサイタルを聴いて来ました。


仕事を終えて駆けつけて聞けるというのは嬉しいものですね。都内や大都市在住の方の利便性をこんな時には強く感じます。


前橋汀子さんの事は知ってはいましたがコンサートに行かずCDも持っていませんでした。たまたま地元なのでチケット販売日に窓口で特等席を購入して聴いて来た訳です。


もう大ベテランで円熟されいる日本の代表みたいな方です。一流のソリストが経験するであろう事は全て経験済み、今は大学教授であり何と2011年に紫綬褒章を受章されています。


どんな素晴らしいアーティストでも私が感心を持てる期間と上手く同時代を生きた方は自然と馴染みが深くなりますが、前橋汀子さんなどがキャリアを積み始めた時に私は、夜な夜なジャズクラブに通っていましたのでかみ合わなかった訳です。


そんな事で聞く機会に恵まれなかったのですが、聞いてみましたら感動の連続でした!!。


素晴らしいですね。今回のリサイタルはデビュー50周年を記念して小品を中心とした親しみやすい曲を厳選して演奏されています。ですから馴染みの曲が多くありました。


1曲目の演奏でエルガー「愛のあいさつ」、皆さんよくご存じと思いますが、私も気楽に聞くつもりでいたのですが、こんな聞き慣れた曲がこんなにも表現豊かで情緒的だったのかと!


続くヴィターリ「シャコンヌ短調」です、聞き惚れてしまい、これはこれは大変な誤算だぞと興奮しながら気を引き締めて聞き始めます、会場の皆さんもどうも同じ様です。


昨年聞いた庄司紗矢香のベートーベン「クロイツェル」は華麗で軽やかな印象が強かったのに比べて、重厚で深みが有り、同じ曲かと思う程です。


最後のサラサーテ「ツィゴイネルワイゼン」は圧巻です。技量に、経験に、人生に、それらが積み重なった響きはただただ唸って聞くだけです。今迄、若手や中堅を良く聞いていたおかげでその表現の差が嫌と言う程に分かってしまいます。まるでフラメンコの嘆きや悲劇の舞台を見ているようです。


ですから今の前橋汀子さんはとても個性的です。欧州などには高慢で気位の高い鼻につく感じの個性的な演奏者が多く見受けられますので、その点は全く嫌みの無い個性です。聞いた後の感動、共感の支配する心地良い疲労感を覚え、こんな体験が出来るうれしさに酔いしれます。


そのつもりは無かったのですが、演奏終了後にCDを購入し、勲章まで受章した方なので緊張しましたがサインまでしていただきました。


尚、彼女の使用楽器は1736年デル.ジェス.グァルネリウスです。華麗な音、力強い音と千変万化する音色にも圧倒されますし、演奏中にはまるで楽器と会話している様な仕草も印象的でした。


 



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