2012年6月14日木曜日

FOSTEX FF85WK

最近は小口径のフルレンジユニットを搭載したシステムを製作する事が何故か多く、その中で日本を代表するユニットメーカーの音を久々に聞きましたので敬意を払ってその試聴記を書かせていただきます。

フルレンジを使うシステムはお客様の拘りが強く有りますのでユニットはほぼ支給です、後はそのベストなエンクロージャーを設計製作する事となります。

国内ユニットメーカーは一部の強烈な拘りのハンドメイドのメーカー以外は数社しか存在しませんが、海外には少なからず存在していてそのグレードも高く、ネットの発達でそれらを入手する事も可能となっています。

ウッドウイルにユニット選択を任されますと、どうしても音質優先で妥協を廃した製品を選ぶ為に勢い高価になる事が有りますが、それはお客様も承知しておられる様です。

そんな事情なのでしばらく離れていましたが掲題のFOSTEX社のフルレンジユニットを聞く事となりました(大型ウーファーや中域/高域ドライバー類は使っていますが)。

ウッドウイルのお客様は圧倒的にクラッシックファンが多く、その次が全ジャンル、ジャズ専門の方は少なく、ましてやポップス専門やロックなどは皆無に近い状態です。こんなお客様がウッドウイルに関心を持って下さると言う事です。

ご存じの方も多いで有ろう(と言うよりも皆さん常識の様に知っていますかね?)と思いますが、FOSTEX社のフルレンジユニットのFEシリーズは西海岸的な明るく快活な音質ですので、クラッシックには向かないと考える方が多く、私もその様に思っています。

私がもう一つ大きな理由として上げるのは、最近のハイグレードな海外製ユニットは別として、フルレンジは音が平面的になり、例えばオーケストラの重厚で重奏的な再現では力不足で直ぐに物足りなさを感じてしまうのです。勿論、フルレンジの良さがある事は百も承知で話しています。

但し、音が前面に元気に出て来るので、その要素と合致する楽器によっては胸の空く音楽を堪能する事も出来、その限定的な使い方で満足されている方も少数ですがいらっしゃいます。

そこで新シリーズ(もう数年経ちますが)FFシリーズのFF85WKでシステムを組んだ訳です。FEシリーズと同じ音色だったらどうしよう??と思いながらの試聴一発目!。

20時間程のエージングなので正確な所は未だ不明ですがその第一印象は、FFシリーズは良くも悪くもワァーと音が前に出て来ますが、そこは少し抑えめか、そしてそのワァーと出る音はユニット(振動板の)の癖そのままに出るのに対して何か音のカラーが被さった様な印象を受けます。長く聞いていますと慣れて分からなくなりますが、リセットして再度聞きますとやはり今迄のFEシリーズとは違うカラーを感じます。

FEシリーズの振動板の乱れた生々しい音が(失礼)そのカラーにより整えられていると言う印象です。私の感覚ではFFシリーズの素材が持っている音と言うよりもやはり何らかの音作りをした結果の音色?と感じてしまいます。

試聴には何時も聞く殆どのジャンルの曲を聞きました、FEシリーズでは避けていた曲も聴きました。オールジャンルで良好に聞ける事が分かりました。その意味で安心して使えるユニットになったと思います。

一番良かったのがピアノ!チャイコフスキーのピアノ協奏曲もスケール感もピアノの艶もそこそこ出ていて良好、ボーカルもメゾソプラノ程でしたら音像もベストサイズ。アタック音の鋭い曲も従来通り楽しめます。

新しいスピーカーやユニットを聞いて嬉しく思うのは、ほんの一瞬であってもその時の音色に心がハットする様な驚きを覚える時です。そんな体験をこのユニットから幾つか受けました。

予算が無いシステムを組む時にはオールラウンドで使えそうですので、他の口径の音も聞いてみようかと思っている所です。

ウッドウイルで使うには大歓迎のFFシリーズと言う事が言えます。


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