2014年7月5日土曜日

ウイング-Ⅱの嫁入り先

先日紹介したウッドウイルの代表機種「ウイング」の改良型「ウイング-Ⅱ」の
嫁ぎ先「納品先」のお話しです。
http://www.lcv.ne.jp/~woodwill/wing-2.html


ウッドウイルは信州の標高約1100mの街と山岳の中間位置にあります。
嫁ぎ先はここから車で約30分、標高1500mの蓼科高原の中の別荘地にあります。
時折雨脚が強くなる梅雨空の日にお邪魔しました。


高速道路が未だ未開通だった頃、郊外の国道を走っていると数分で通り過ぎて
しまう様な街を何度も経験したものですが、
この辺りの歴史のある大手の別荘地は車でも数十分走らされる程に広く深く、
迷ってしまう事が良くあり、番地だけ聞いてたどり着く事は不可能?です。


戸建てや集合形の別荘は勿論、ゴルフ場にスキー場、豪華ホテルに
数多くあるレストラン、トレッキングコースに岩魚の隠れた釣り場と
南斜面に面した各戸からは豊かな自然の景観が望まれます。
梅雨空の森の中では空気に新鮮な栄養が含まれている様です。
そこに居るだけで癒されます、美しい所です。


会社員だった頃、オーナーの別荘に良く飲みに行き、
壁一杯のクラッシックLPから引っ張り出した名盤をJBL4355が爆音で聞かせてくれました。
今は少しサボっていますが、チェロの先生も東京からこの別荘地に戻ると
教わりに出かけるなど、私にも何かと縁のある場所なのですが、
自分の作品がこの場所に嫁ぐとは思いもよりませんでした。


「ウイング-Ⅱ」は個室を与えられ、オルトフォンSPUにSME3012ロングアームで
主にLPでのシンフォニーを歌います。オール真空管のプリは2台に別れたマッキンの
青いイルミネーションが美しく、KT88パワーの準備が出来ましたとの緑ランプを
確認して歌い始まります。


ウッドウイルの工房/試聴室よりは余程恵まれた環境で良かった良かった。
ご主人も音楽好きの優しい方です。
永く元気で働いて可愛がってもらいなさいよ!。


手元を離れる時に聞いたお別れ会での最後の印象は...
少し間が空いた演奏会に出かけて行き、室内楽独特の中小の音楽ホールで思い出す、
あの静かな空気感と緊張感、ああこうだったなと安心しながら演奏を楽しむ。
そうで有った事を思い出させてくれるものでした。


初代「ウイング」とは大な違いは無いのです。
ユニットは同じ、、ネットワーククロスも同じ、でも素子は変えています。
エンクロージャーの素材は北海道産の100%山桜である事も同じ。
内容積は若干違うな、形状も少し違う、組立方も楽器の要素を盛り込みました。
ホームページの写真比較では大差無いと感じる事と思いますが、
8年間の積み重ねで再生音には大きな差が出て来ました。


細かな所を少しずつ、少しずつ改良を加えた結果として、
今迄感じる事が無かった変化を与えてくれました、そんな風な変化なのです。
「今迄聞こえ無かった」と言う表現は正しくなくて、「感じる」なのです。
何故なら今迄と何が違って聞こえるのかを表現する事が出来ない様な変化なのです。


手元の初代「ウイング」では表現出来ないものが「ウイング-Ⅱ」には有る、
後から作る強みですね、同じであったら進化が無かった事になりますね。
変な物で、お客様の所には手元よりも良い作品が有ると思うと悔しいので、
もっと良い物を作ってやろうとの思いが生まれて来ます。


構想は出来上がっています。
コンサートから帰って試聴室で聞く自分の作品達の音には満足出来ない、
レベルは違うにしても誰でも思っている事と思いますが、
その悔しさと、何処が足りないのか?と日々思っている諸々の事を
集大成しようとの計画なのです。
新技術を導入すると言うよりも、今迄の問題点の洗い出しや、
何故か遠慮していた事(どんな事でもそう言う事って有りませんか?)
そんな事に挑戦してみたいと思っています。


嫁ぎ先での「ウイング-Ⅱ」は真空管の特徴でしょうね、
優しく柔らかな表情で歌っていました。
ウッドウイルの機材は作品を生み出す環境ですから
粗を出し切らせる様なストイックなシステムにしているので
作品も緊張しているのかも知れません。


オール無垢のエンクロージャーが本来の響きを見せて来るのは
あと3年は必要でしょう、そこから年々熟成が進んで行きます。
手元のウイングも未だ未だ熟成が進んでいます。


納品に伺う事は未だ片手の指程で希な事です。
嫁ぎ先を見届けるのは如何にも仕事が終了したとの印象を受けます。
お客様の話や音源に機材に部屋と新しい発見もあります。
お客様にとっても有意義であれば更に嬉しいですね。
「ウイング-Ⅱ」のご主人様、ありがとうございました。





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